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第31話 SNSチェックしながら半身浴(土屋久羽視点)

 帰宅してからお風呂に入っている。

 半身浴の時は、バスブックスタンドと、防水スマホケースは必需品だ。

 写真を上げるSNSを観ながら、今日の反省点を思い浮かべる。


「巧君には言いすぎちゃったかな」


 言動に感情が出ないよう、普段から抑制しているつもりだ。

 人当たりが良く優しい土屋久羽、それが私に求められているものだ。

 友達や家族にすら、その仮面の中身を覗かれることはない。


 でも、巧君は違う。 

 彼は本当に頭が良くて観察力も鋭いせいで、私の演技は看破されてしまっている。

 最初は戸惑ったけど、特別な感情を抱くのにそう長い時間はかからなかった。


 だからこそ、飲み会の時に態度に出てしまった。

 巧君に恋の応援をされて、腹が立ってしまった。

 でも、それはしょうがない。

 だって、


「――惚気なんて聞きたくなったんだもん」


 恋愛しないなんて勿体ない。

 付き合わないのは高望みし過ぎてるから。


 そうやって周りから勝手にレッテルを貼られることがある。

 だから、恋愛の応援や、恋人がいる惚気なんて聞き飽きている。

 厄介な人間の躱し方なんて、物心がついた時から既に習得している。


 だけど、巧君にだけは言われなかったな。


 私はかなり嫉妬深い。

 みんなのように深い関係を築くことができない。

 狭く深くではなく、浅く広い。

 だから、仲良くなってしまった相手に、依存してしまうタイプだ。

 持って生まれた執着心は、同性にも適応される。


 私は、巧君にだって嫉妬することはある。

 栞ちゃんと仲良さ気に私の知らない話題で盛り上がっていると、むくれてしまう。

 もっと、私と仲良くして欲しい。

 そんなこと言ったら、きっと誰も私のことを見てくれなくなる。

 誰かにもたれかかるような生き方は、私にはできない。

 本心を打ち明けられないし、誰も未熟な私のことを認めてくれない。


 悩みがなさそうでいいよね。

 久羽は完璧に何でもできるんだから、羨ましい。


 なんてことをよく言われる。

 でも、私から言わせれば、私ほど不完全な人間はない。

 必死になってみんなの理想通りの土屋久羽になろうとしているだけだ。


「同級生だったら、もう少し違ったのかな」


 どうにもならいことに思いを馳せながらスマホをいじっていると、SNSをいじっていた指が止まる。


「三人とも画像上げてる。ShowTubeやっている人は必須なんだろうな」


 巧君に栞ちゃんに、水上さん、三人とも今日の画像を上げていた。

 まだ動画に上げていないから、ちょっとした桜の画像とか、動画の予告に留まっている。

 こうやって定期的に動画の宣伝をしないといけないんだろうな。


 DMで連絡しようか。

 RINEでいきなり連絡を取るよりも、DMで画像見たよってワンクッション置いた方が切り出しやすい。


 今日の態度のこと、謝らないと。

 不貞腐れた態度の原因については訊かれないと思うけど、万が一訊かれたらどうしよう?


「その時は、もう告白しちゃおうかな」



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