表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

東京悪夢物語「幽霊アプリ」

作者: ヨッシー@

東京悪夢物語「幽霊アプリ」


「ねえ、このアプリ知ってる?」

「知ってる、」

「幽霊アプリだろ、」

「タップして、かざすと幽霊が見えるんだって、」

「ほんと?」

「本当」

「やってみる…」


奥田が、また噂を聞いてきた。

女子高生の間で流行っているアプリ、

幽霊アプリ!

何やら、このアプリをダウンロードしてかざすと幽霊が見えるらしい。

「根本先輩〜」

「やってみましょうよ〜」

「やだよ、」

「私が、幽霊とか、お化けが嫌いなのは知っているだろう」

「そうでしたっけ」

私は、その手の話が苦手だ。

昔から、そうだった。

幽霊や心霊番組などは見たことがない。

所詮、嘘ばかりだ。

聞きたくもない話を、また、聞いてしまった。

「自分のスマホでやれよ、奥田」

「俺のスマホ、昨日、画面にヒビが入っちゃって使えないんですよ〜」

「お願いしますよ〜根本先輩〜」

「やだよ、」

「お願いしますよ〜」

「柳原さんも見たいって言ってますよ、」

「柳原?」

ああ、小柄でおとなしい、無口な新入社員か、

奥田は、私が柳原を気に入っているのを知っている。

柳原の方を見てみる。ニコニコしている。

私は面倒くさいことになるとまずいので、言うことを聞く事にした。

「これか、」

幽霊アプリ、

ダウンロード、

ーーーーーーーー ーー ー

完了、

タップする。

シューン

画面、

あなたは18歳以上ですか?

はい、

あなたは幽霊を信じますか?

いいえ、

………

このアプリは、写真モードは一日5回まで、動画モードは一日1回1分間です。

使用上の注意をよく守り使い過ぎに注意しましょう。

違反した場合、当社は一切責任を負いません。

第一条

霊感体質の方はご遠慮下さい。

第二条……

「あー面倒くさー、」

「飛ばすかー!」

奥田が、私のスマホを奪い注意書きを飛ばした。

「止めろよ、」

「いいから、いいから、」

「どうかな?」

カシャ、

見てみる。

「何にも、写らないじゃないか、」

「もう一度、」

カシャ、

何も写ってない。

「インチキだー詐欺だー」叫ぶ奥田。

「何だ、つまらないの、」女子社員たち。

「そんなものだよ、」

私は内心、ホッとしていた。

もし、社内で幽霊が写っていたら、気になって会社に来られなくなってしまう。

よかった。


帰りの電車、

まばらの車内、

暇つぶしにスマホでも見るか、

カチ、

幽霊アプリ、

ああ、そんなものインストールしたな、

バカバカしい、

消してしまおう、

タップする。

シューン、

アプリが開く。

しまった、開いてしまった。

カシャ、

写真を撮ってしまった。

どうせ、インチキなのに、

ああっ!

正面の席に白い服の女の人が、

見間違いか?

よく見てみる。

やっぱり、女の人だ。

幽霊か?

そんなバカな、

肉眼で見てみる。

誰もいない。

写真、

女の人が座っている。

……

気持ちが悪い…

車両を移動する。

ガタコトン、ガタコトン、ガタゴトン…

夕焼けに照らされる電車。


駅を降り、アパートに向かう。

……

嫌な感じだ、

振り返る。

誰もいない。

気にするな、あんなのインチキだ。

帰ろう、帰ろう、


アパートに着いた。

食事をすまし、風呂に入る。

あの写真、インチキだったら、必ず幽霊が写っているんじゃないのか?

会社では写っていなくて、電車では写っていた。

もしかして、本物?

いや、そんなものがあるわけがない。

見間違いだ。インチキだ。

そうだ、絶対そうだ、決まっている。

ザバーッ、

風呂を出る。


明日も早い、

寝る準備をする。

電気を消す。

……

眠れない。

あの、幽霊アプリのせいだ。

気になって眠れない。

「何時だ、」

スマホの目覚ましを確認する。

シューン、

しまった、

また、幽霊アプリを開いてしまった。

カシャ、

また、写真を撮ってしまった。

ああっ!

部屋の角に女の人が写っている。

あの時の、

電車の中の女だ。

嫌な予感が当たった。

私の写真に気づき、ついて来てしまったのか?

どうしよう、

塩でも撒いて、追い出すか、

逆に怒って取り憑かれたら、たまらない。

そのまま、そっとしておいて、明日、電車に戻そう。

それが、いい。

電気を付けっぱなしにしとけば、何もしないだろう。

眠る…

……

眠れない。

スマホの時間を見る。

午前2時か、

どうしよう、

シューン

しまった、

また、幽霊アプリを開いてしまった!

カシャ、

また、写真を撮ってしまう。

ああっ、女が!

私のベッドのすぐ横に立っている、

私を見ている。

「ぎゃぁ、」

ベッドから転がり落ちる。

怖い、

怖くて、怖くて、たまらない。

どうする、

……

……

1時間経った。

リビング、

どうしよう、

もう一度、幽霊アプリで確認してみるか、

いや、

朝まで、待つか、

このままでも…

まだ、ベッドに居たらたまらない。

幽霊アプリで確認しよう、

シューン、

アプリを開く。

カシャ、

「ああっ!」

私の目の前に立っている!

もの凄い顔で睨んでいる、

「ごめんなさい、ごめんなさい、」

「助けてください、」

「助けてください、」

慌ててリビングから逃げ出す。

アプリから音声が、

「本日の写真モードは終了しました」

ぎゃー、

苦しい、

首を絞められている。

何も見えない、

女の幽霊は見えない。

「助けてくれーーー」

「動画モードか開始されました。制限時間は1分間です」アプリの音声。

手からスマホが落ちる。

スマホの画面、

根本の首を絞める女の幽霊。

「助けてくれ…」

気を失う。

「動画モードが終了しました」アプリの音声。

消える画面。


翌朝、

無事だった。

首には赤いアザが…


その後、

幽霊アプリは使えなくなった。

学生の間でパニックが起こり、禁止されたそうだ。

「アプリでの集団ヒステリー!」

ネットニュースの記事。

実際は、アプリ内の幽霊画像がランダムに写るだけのインチキアプリで……


しかし、

私が見たものは何だったのだろう、

本当だったのか、インチキだったのか、

夢だったのか…


使用上の注意をよく守り使い過ぎに注意して下さい。

違反した場合、当社は一切責任を負いません。

第一条

霊感体質の方はご遠慮下さい……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ