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お世話がかり (外国から来た医師のせんせい と お世話がかり)
「せんせい、どうしてまた散らかっているんですか!?」
「いやあ、どうしてかな……」
外国から来た偉い医師のせんせいは、どんな病気も治してしまうと評判で、毎日あちこち引っ張りだこだ。そんな忙しいせんせいのお世話がかりが、私。
せんせいは医師としては立派なのに、家ではまったく駄目だ。本も書類も散らかし放題。私がせっせと片付けるのに、次の日には元に戻っている。
「君が居てくれてよかった」
「そうですよ。私が居なかったら、せんせい、書類に埋もれてとっくに死んでいますよ」
「うん、君が居ないと僕は駄目だね」
散らばった書類を整理しながら呟くと、せんせいは照れくさそうに言った。
だがこの苦労もせんせいが帰国するまでだから、あと少しの辛抱だ。
……それが少し寂しいなんて、思ってはいない。
「せんせい、帰国したら、ちゃんと新しいお世話がかりを雇ってくださいね」
「おや。君を置いて行くなんて、誰が言ったんだい?」
もちろん連れて帰る。




