妖精さん (隣席の同僚 と 仕事を手伝ってもらった彼女)
同じ設定の小ネタが三つになったので、こちらにまとめます。
「あ、午後イチで提出の書類が終わってる。……妖精さんかな?」
「妖精さんじゃなくて、隣席の俺です」
「そういえば、いつの間にか熱々のコーヒーも置いてある」
「それも、俺」
「妖精さん、ありがとう」
「だから妖精さんじゃなくて、」
「嬉しいなー。妖精さんのお願い事なら、なんでも聞きたくなっちゃう」
「……妖精さんは、今日の夕飯をご一緒したいです」
「りょうかーい」
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週末は部署飲みかあと、隣席の同僚が聞こえよがしに息を吐くので、仕事の手は止めずに適当に相づちを入れてやる。
「ため息やめてー」
「だってさあ、飲みの席の課長って話が長いから。俺、なんでかよく捕まるの」
「大変だねー」
「妖精さんみたく、途中でそっと姿を消したいわあ。そんときは一緒に消えよ?」
先日、この同僚の親切を「妖精さん」と面白がってみた。すると同僚自身もそれを気に入ったらしく、こうしてしばしば使うようになっていた。
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週末の部署飲みは大いに盛り上がった。
酔った課長が周囲に絡み始めたころ、捕まる前にと席を立つ隣席の同僚。それに気づいて声をかけると、なんとなく二人で抜けて二次会へ行こうということになった。
「本当に、妖精さんみたいに姿を消すことになっちゃったねえ」
「道連れにして悪いな」
「いいよー。ふたりで飲むの、楽しいし」
「うん、俺も楽しい」
自分の楽しいことを相手にも肯定され、ほろ酔いの陽気さでにこにこしていたら、右手にそっと触れるものがあった。
手を握ってきた同僚へ顔を向けると、同じようににこにこ楽しそうで。
「行こう」
「うん」
まるで妖精の羽が生えたみたいに軽い足取りで、ふたり手を繋いで歩いた。
ふわふわ可愛いカップルになりそう。




