表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドミノ製作所  作者: 神田かん
7/9

第7話

でもやっぱり僕はサチがいないのが寂しくて、いつも夜になったら電話した。


「ねぇ、サチ~、いつ帰ってくんの?」


「ん~当分帰れないかな。姉ちゃん忙しいのよ。ごめんね。」


「僕、姉ちゃんとこに居候しようかなぁ。」


サチはすぐに笑う。サチの笑い声のせいで、受話器の向こう側にある何かがぼくの耳のそばでカタカタ震えている。耳がくすぐったくなる。


「居候?そんな難しい言葉どこで覚えたの?」


「母さんがいっつも見てるドラマでやってた。」


「ませやがって。」


「僕はもう大人だよ・・・」 


ゴンっ。ガチャン。


いつもサチとの電話を終わらせるのは、父さんだった。いつもげんこつが飛んできて、電話が切られる。そして父さんも切れている。「長い」の一言。


父さんはそんなに口数が多い人ではなかった。少なくとも僕の前ではそうだった。いつも一言二言で僕を諭して去っていく父さん。言葉ではない何かで僕を圧倒する。上手く説明できないけど、父さんは言葉以外の、雰囲気とか空気の重さとか距離感とか自分の体に対する力の入れ方とか背中から発しているオーラとか、目では見えないようなものを微妙に調節して僕に何かを伝えていた。僕はちゃんと受け取っていた。でもそれらが何なのかまだ上手く話せない。だから思い出話の続きをする。


父さんにいつも途中で電話を切られたとしても、サチと話をすると気持ちがすぅっとしていい気持ちになる。だから毎日電話をかけたくなる。けど父さんに殴られるから控えめにしていた。僕は大人だったから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ