ゲーム、開始
「はーい。戻りましたよー」
「ミーナ、シルヴィア、ありがとう。助かったよ」
ルカが微笑む。
「本当だよー。すっごく可愛くしたからね!」
「私は、少し手伝っただけですので…」
エヘンと、胸を張ったのがミーナ、遠慮がちな返事をしたのがシルヴィアである。
部屋に戻ると、それぞれが自由な格好で待っていた。
「さて、疲れている中申し訳ないけれど、
ーーーロゼ、君に聴きたい事がある」
「君をここに来るように誘導した男はどこにいる?」
「解りません。最後は、船に乗る前に、別れたから」
ロゼは、真っ直ぐ前を向き、淡々と言う。
「…まぁ、そんなことだろうとは思っていたけど」
「都合が悪くなったから押しつけて、逃げたんじゃない?」
「また、行方不明か…」
「え? 自分探しの旅って、前に言ってたけどー?」
「あんなの、逃げる為の嘘に決まってるだろ…」
その場にいた全員が深く息をついた。
「ごめんね。聴きたかった事はこれだけなんだ。君のことはちゃんと保護するから安心して」
場を切り替えるように、ルカが言った。
「ーーーそれでロゼのこれから住む場所のことなんだけど…」
「この中から決めようと思うんだけど、どれがいい?」
その言葉を待っていたかのように、オズがカード、チェス、立体ゲームを机の上に並べる。
ロゼは、迷わずカードを指差す。
その状況に意を反する者が一人、いた。
「ちょっと待った!!絶対狙ってますよね!?」
レイは座っていた椅子から勢いよく立ち上がった。
「んー?なんのことかなー」
ルカは既にカードを切り始めていた。
そして、にっこりと微笑み…
「大丈夫だよ。たとえカードが負け続きでも、今日勝てばいいだけだろう?」
レイは項垂れた。
その肩を、励ますようにオズが叩いた。
ジャックは笑いを堪えている。
そして、全員の手元にカードが行き渡り、戦いの鐘は鳴り響くーーー…
「では、ゲーム•スタートだーーー」