「それでも」
ここでどんなに足掻こうが、誰に産まれたかは変わりはしない。
優しい彼も、寛大な恩師も、良き民も。
神が望まぬその汚れた血でなぜ生きる。
お前はいずれ死ぬのだ、死ぬのだ、死ぬのだ、死ぬのだ死ぬのだ死ぬのだ死ぬのだ死ぬのだ死ぬのだ死ぬのだ死ぬのだ死
パチ。
アンの目が開かれた。
「何か、悪い夢を見た気がする、覚えてないけど気分最悪」
アンはバッグの中にある水汲み桶とタオルを出し、水魔法で適当にタオルを濡らして全身に引っ付いた汗を拭う。
昨日はつい体を洗わずにそのまま寝てしまったため、その分も合わせてしっかりと洗う。
体を拭きながら、アンは「そういえば」と呟く、ドミノ行き集団馬車の時間を確認するの忘れたな、と心の中で思った。
バンザの街で既に満足していたアンだが、目的地はここではない。
ここからさらに南に行き、村三個と国を一つ通りすぎると、人間族の中で一番大きな国、《中央国ドミノ》があり、アンはそこに行く予定だ。
元々、アンは人と喋ったことが極端に少ない、親とその他数名しか喋ったことが無い。
なぜならアンは《人魔族》と呼ばれる、人間と魔族の血が通ったこの世界ではありえないと呼ばれている種族、教会などに知られれば死刑以上の罪状が送られる。
だが、アンは「それでも」と言い人と触れ合う人生を選びたかった。
「その馬車、ドミノ行きですよね?」
「ん?そうだよ。お嬢ちゃんも乗るかい?一回五百リル、席なら空いてるよ」
「はい、お願いします」
...実際、こうやって外に出て、人と触れ合って良かったと思う。
こういう何気ない他人との会話も、親とは全くしなかった。
そう思うと、やること全部が楽しい。
「...良かった」
「ん?馬車に乗れた事がかい?」
「あー...まぁ、そんな所です」
思わず漏れた言葉に、アンは苦笑した。
ペルソナ5R発売する前に投稿出来たことを歓喜する




