運は実力のうちらしい
霧のかかった寒い朝。
「クシュン…」
リリには、おうちが無い。家族も、家族みたいに大事な人も居ない。ううん、いなくなっちゃった。お空に飛んでた飛行機から、鉄の粒が落ちて来て、みーんななくなっちゃった。
「うう…お腹すいたぁ。」
リリが今持ってるものなんて、、今着てるボロのワンピース一枚だけだね。歩道のはじっこが、リリのベッド。最初は恥ずかしかったけどね、2ヶ月この暮らしで、もう慣れちった。したらね、男の人がリリに話しかけて来た。
「ん?こんな朝から、こんな所に居たら危ないよ。」
「ううん…大丈夫。」
「そう?でも…」
男の人は、リリの事をじっと見る。
「ああ、君の居場所はここなんだね…ごめん。」
男の人はどこかに行こうとした時、ポッケを探り始めた。
「そうだ、これ。」
「?」
男の人の手には、髪留めがひとっつ。にっこりお顔の飾りが付いてる。
「にっこりさんって言うんだよ。」
「へえぇ〜。」
「これ、君にあげるよ、お詫びだ。」
「ほんとうに?ありがとう。」
男の人はリリに向かって、にっこり笑ってくれたあと、どこかに歩いて行っちゃった。また会えるといいなぁ。リリはその髪留めを付ける。そうだ、お腹がすいてた事を忘れた。
「ガサゴソ…ガサゴソ…」
「はあぁ…」
ゴミ箱を探っている時が、一番辛い気持ちになる。早く慣れちゃわ無いといけないのに…結局、今日の朝ごはんは、何かのお野菜の皮と、缶一杯分のお水、あと黒くておっきな虫さんを一匹だった。
「ふう。」
地べたに、横になる。あんまり動くとお腹がすいちゃうから、ここでじっとしてるのが一番。
「くすん…」
一人ぼっちは寂しい、それに、こんなことになるんだったら好き嫌いしなきゃ良かったな。会いたいよ…お母さん…また、美味しい物作って欲しいな…。また、ぎゅーってして欲しいな。あと、もう一回だけでいいから、お母さんに会いたいよぉ…
「うええええん…えええええん…」
「ん…?おい!」
「ひ!」
「お前か!うちのゴミ箱あさってたの!」
怖そうな男の人が出て来た。きっと軍人さんだ。
「ごめんなさ…」
「覚悟しろよテメエ!」
「うわ!」
結局、血が出るほどボコボコにされちゃった…
「もう二度とうちに近ずくな!分かったな!」
「ケホ…コホ…うう…」
やっぱり、泣いたって良いことないんだね…うう、痛い。足を引きずりながら、その路地を出る。こんなに痛いこと、もう無いと良いなぁ。
「へえ…へえ…ふう…」
思いっきりお腹をパンチされたみたい、息が苦しい…これからは、ゴミ箱をあさるのはやめよっと。虫さんとか、そこら辺に生えてる草とかでガマンしよっと。
「…」
良いのかなぁ…?見た目はあんまり変わってないけど、だいぶ痩せちゃったんだよ?このまんまじゃ死んじゃうかも…。
「チチチ…」
「あれ?」
リリの右手の方に、足を怪我しちゃったネズミさんがいる。あれ…?もしかしたら…
「ゴクリ…」
「チチ…」
リリは思い切ってそのネズミさんを食べてみた。いただきます…
「バリ…バリバリバリ…バリバリ…」
すっごく美味しくないし、食べにくいし、硬いけど、お腹がいっぱいになった見たいだった。ごちそうさま…