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スコルナ伯の逃亡

スコルナ伯の屋敷には王室高等弁務官のシェラを先頭にフェールズのメンバー、

ギルドマスターのドレッド、ヤマト、ヴァンガード、オライオン、ダンケルクが訪れていた。


屋敷の中には王室弁務官のシェラ、ドレッド、ヤマト、ヴァンガードの四人が、

オライオンとダンケルクは屋敷の入り口で辺りを警戒している。

他所からの干渉を警戒しての事だ。


対して屋敷の弦ホールに集まったのは、伯爵の後継者であるリュファス、館の警備の衛兵、執事、メイドを合わせて25人、ほぼ全てが揃っていた。


「私は王室高等弁務官のシェラ・レオネと申す者です。

この館にいる者は他には?」

シェラは館に入って開口一番、不在者を問いただした。


「ようこそいらっしゃいました。シェラ様。

私は父スコルナ伯に変わって案内を務めるリュファスと言う者です。」

そう言うとリュファスは深々とお辞儀をした。


「父はまだこちらに来ておりませんが、もうすぐやって来るかと思います。」


「スコルナ伯自身が・・・判りました。

私はギルド“リムスキレット”の訴えの元、王命によりスコルナ伯を調査に来ました。

スコルナ伯を待つ間、他の人の事情聴取を始めましょう。

ついては、部屋を一つお借りしたいのですが?」


「では、客間の一つをお貸ししましょう。

君、王室高等弁務官殿の案内を頼む。」

リュファスは筆頭執事に案内するよう命じた。


筆頭執事とリュファスの案内の元、王室高等弁務官のシェラ、護衛のドレッド、ヤマトが続いてゆく。

ヴァンガードは残って集まった衛兵たちの監視である。


「しかし、王室高等弁務官ともなると行動が早いのですね。

十五日ほど前、宰相閣下宛に訴状を出したばかりなのにもう到着とは・・・。」

客間に向かう途中、リュファスは感心したようにシェラに話しかけた。


「訴状?

私は先ほども述べたようにギルド“リムスキレット”からの訴状で調査に来ているのです。

その訴状はリュファス殿が出されたのでしょうか?」

シェラは訝しげな表情で聞き返した。


「はい、お恥ずかしい話ですが・・・今回の事は流石に・・・。」

リュファスは少し口籠りながら答えた。


「・・・どうやら貴方から詳しく話を聞いた方が良いようですね。」

シェラは眼鏡の奥の目を鋭く光らせながら答える。


「どうぞ、この部屋をお使いください。」

筆頭執事が部屋を案内したその時である、


外に面した廊下の窓からシラアエガスの方へ飛んで行く走空車グエルが見えた。

冒険者用の走空車グエルより小さい。

王室弁務官のシェラは元よりドレッドやヤマトも見たことの無い形だった。


「?あれはなんですか?」

シェラが不思議そうに指さす。


「!走空車グエルだ!逃げたな!」

ドレッドはそう叫ぶと指示を出す。


「ヤマト!ダンケルクに言って追いかけさせろ!」


ドレッドがダンケルクを使うのはギルド内で彼が一番走空車グエルを操縦しており、かつ巧みだからだ。


「了解!」

返事と共にヤマトは素早く駆け出していった。




館から遁走する走空車グエルではスコルナ伯が少年を急き立てていた。


「おい!もっと速度を上げろ!操縦桿をもっと前に倒せ!」


「だめです。これで目いっぱいです。」

少年は涙目で返事をする。


スコルナ伯は時々後ろを見ながらブツブツ言っている。

「くそ!弁務官が来るとは。

だが、大丈夫だ。

あ奴らも素直になった頃だろう。

二人が別邸で歓待を受けていたと証言させればわしが罪に問われることは無い。

このまま何事もなく別邸にたどり着ければ!!」


だがそんなスコルナ伯の思惑とは関係なく後ろから接近する走空車グエルがあった。

ダンケルクの操縦する冒険者用の走空車グエルである。


一般用とは違い冒険者用は華美な装飾はない。

形も耐久性を重視したガッシリとした作りで武骨な印象を受ける。

重量も大きいのだが出力自体が大きいため一般用より速度を出すことが出来た。


「!!!!!うおおお、追いつかれる!もっと飛ばせ!相手を振り切れ!」

スコルナ伯は大慌てで少年に向かって叫ぶ。


「逃がさないよ!」

冒険者用の走空車グエルを操縦するダンケルクは唇を舐め、そう呟いた。



走空車グエルによるチェイスが始まった。


スコルナ伯の乗る走空車グエルは上下に動きながらダンケルクの操縦する走空車グエルを振りほどこうとする。

時には町の通りを、森の中を、草原を、上下右左と激しく動く。

が、走空車グエル発売当初より操縦をしてきたダンケルクを振りほどくことは出来ない。

あっという間にスコルナ伯の走空車グエルに急接近する。


ダンケルクの操縦する走空車グエルがスコルナ伯の走空車グエルの後部に触れた時、


ドゥン!


大きな音と共にスコルナ伯の走空車グエルが加速した。


「!?何だって?」

ダンケルクは何が起こったか判らなかった。


「仕方がない、前に回り込むか。」


振りほどかれたかの様に視界から消え大きく回り込む。

一般用より速度が上回っている為、スコルナ伯の走空車グエルの前に出ることは容易な事だった。


スコルナ伯が気付いた時には目の前から直進してくる走空車グエルが見えた。


「うわわわわ!ぶつかる!」

操縦桿を戻し速度を落とそうとする少年をスコルナ伯が押しとどめる。


「馬鹿者!このままだと捕まるではないか!

速度を出して回避しろ!

どうせ相手も避ける!!」


「!!」


スコルナ伯の思惑通りダンケルクは横に避けた。

だが、走空車グエル同士がすれ違った時それは起こった。

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