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Sランクギルドを追放された魔導士、田舎でスローライフもくろむ・・・が?!  作者: 士口 十介
スコルナ領始末記

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魔導士は閉じ込められる

居間に入るとリュファスはひと払いしスコルナ伯に

「父上、あの大きな物も伯爵が持つに相応しい物だと思います。」

と言った。


「うむ。だが何の飾りも無い銀色の塊では無いか。」

だが、スコルナ伯にとって飾りの無い輸送車はあまりいい物には映っていなかった。


「飾りは後で付ければよいのです。

あの大きさ、誰も持っていない比類ない大きさこそが持つに相応しい物だと思います。」


「・・・言われてみればその様な気もするな。」

“誰も持っていない”と言われ食指が動いたようだ。


続けてリュファスは

「それとアレを作り出したと言う魔導士は確保すべきかと。」

と提案した。


「ほう?して理由は?」


「あれを作り出した魔導士です。我が家に仕えるべきかと思います。」


「だがあの魔導士は辺境伯に仕えていると言われているぞ?」

スコルナ伯は辺境伯を相手にするほど力があるわけではない。

辺境伯との無用の争いは避けたいのだ。


「魔導士に対し辺境伯が願って仕えることになった様です。

それに辺境と王都からそう遠くないこの地、どちらが良いかは比べるまでもありません。

魔導士自身が当家に仕えたいと言えば・・・」


「何も問題は無いと言うわけか。

だが、魔導士本人の説得はどうする?」

確かにリュファスのいう事は最もだと考えていたが、

金銭でもなびかない相手に対する説得の手段が何も浮かばなかった。


「やはり歓待して、仕官願いにサインさせるべきでしょう。」


「ふーむー、手間と金がかかるやり方だな。」

あまり期待できない方法を提示されスコルナ伯は落胆した。


「多少手荒な真似をしてもサインさえあれば問題ないのですが

それはやるべきでは無いし、やっても最後の手段でしょう。」


それを聞いたスコルナ伯が聞き返す。

「手荒な手段?」


「ええ、どこか例えばあの車に閉じ込めて兵糧攻めにします。」


「ふむふむ」

スコルナ伯は身を乗り出して聞いている。


「音を上げたところでサインをさせます。

人間だれしも、飢えには勝てません。」


「サインさえあれば辺境伯に訴えられたても問題は無いか・・・」


「はい、それに彼らが訴えても所詮、男爵や魔導士です。

伯爵家と比べてどちらの言い分が通ると思いますか?」


リュファスにそう言われスコルナ伯はニャリと笑った。




カイが一通りの操縦方法の説明と簡単な訓練、

(スコルナ伯に走空車グエルを送った手前、輸送車での訓練だが)

が終わった頃、スコルナ伯は子息のリュファスと共に屋敷から出てきた。


ハロルドはスコルナ伯に対し一礼をすると

「スコルナ伯、どうやら弟も説明を終えた様なので一先ずお暇させていただきます。」


「ふむ、そうか。ご苦労であった。

ところで魔導士とやら、我がスコルナ伯爵家に仕えよ。」


スコルナ伯にそう言われてカイは

「いえ、私は辺境伯に仕える身、スコルナ伯に仕えることは叶いません。」


「ふむ?聞こえなかったのかな。わしは仕えよと言ったのだが?」


「伯爵さま、お待ちください。

弟は辺境伯に仕える身、伯爵さまに仕えることは・・・」

ハロルドはスコルナ伯を止めようとする。


「ええ、お前に聞いてはおらぬ!

もうよい、この者達を捕らえよ!」

業を煮やしたスコルナ伯が執事達に命令する。

スコルナ伯の命令により周りから槍を持った衛兵が集まって来た。


「お待ちください!父上。それはなりません!」

リュファスがスコルナ伯を止めようと声を上げた。


「!!何を言うか!かまわぬ!この者達を捕らえよ!!」


スコルナ伯の命令により集まった衛兵がカイ達を拘束する。


「手間をかけさせよって。

仕える気が無いなら、その気になる様にさせるまでだ。

この者達をその荷台に閉じ込めてしまえ!!」


カイとハロルドは衛兵によって荷台閉じ込められてしまった。

リュファスは荷台の扉が閉まる前、ハロルドにそっと耳打ちする。

「すまない。ハロルド男爵。私に力が無いばかりに。

何としても君たちは助けて見せよう。

それまでの間、少し耐えてくれ。」


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