表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/186

「サーバル男爵とその供の方は領地に帰りましたぞ。」

とスコルナ伯の執事からそう告げられた。


その上、「領地を出た後の行方は知りようがありません。」

と言われれば引き下がるほかはなかった。

ディンカ達は体よくスコルナ伯の執事から追い返されたのだ。



「なぁ、このスコルナ領は何かおかしくないか?」

スコルナ伯の館から出るなり、スタンがみんなに尋ねた。


「そうね。

あれだけ空を気にしている領民が走空車グエルを見たことも無いと言うのは変だわ。」

バハルがスタンに答える。


「スコルナ伯は走空車グエルに乗っていた。

その姿は領民なら見ているはずなのだが、誰も走空車グエルを見たことが無いと言う。」

そう言うとディンカは

「やはり領民に口外するなと命令を出しているとしか考えられないな。」


スコルナ領内だけでもかなり広く領民も多い。

その領民に対して口止めできる体制があることを意味していた。


「だが、俺達が訪れたことでスコルナ伯に何か動きがあるかもしれない。」

ディンカはそう言うとスタンやバハルに指示を出す。


「すまないがスタンは何時でも動ける様に走空車グエルで待機してくれ。」

「了解。それは仕方が無いだろう。」

スタンは親指を立てて了解のサインを出す。


「バハルは町の出入り口が見える所に宿を取ってくれ。」

「怪しい奴がいないか見張るのね。」

バハルは頷き了解する。


「私は何をすれば?」

「ロインさんは私と一緒に酒場に行って聞き込みをお願いします。」




その夜、スコルナ伯爵の館から秘密裏に移動する者達がいた。

黒く染めた皮鎧に黒いマント、フードを着け闇に紛れる格好をした男たちが三人。

三人とは別にごく普通の皮鎧を着けた男の四人である。

リーダー格らしいその男が口を開いた。


「どうだ?

冒険者の奴らは気付いているか?」


黒い皮鎧を着た男の一人が答える。

「酒場で色々嗅ぎまわった後、宿に入ったまま出てきていないようです。

ただ・・・」


「ただ?」

男が聞き返す。


「やつらの一人は、空飛ぶアレに乗ったまま宿に入ってないそうです。」


報告を聞いたリーダー格の男は三人に指示を出す

「よし、手はず通りに行動するぞ。

お前は奴らをおびき出せ。」




「ディンカ!変な三人組が町を出ようとしているよ!」

「何!・・・あれか!

黒っぽい姿で顔を隠しているな。」

「門番をせかして急いでいる様だよ。」

「よし!スタンにそいつらを追いかけさせよう!行くぞ!」

そう言うと慌てて宿を出て行く。


もし、その三人組を見たのがルリエルやフロームの遊撃士レンジャーであったなら

その不自然な行動、“見るからに怪しい恰好で町を出ようとする“に気が付いただろう。


だが、ディンカもバハルも戦士であり、隠密行動に詳しいわけでは無かった。

彼らの目には夜の闇に紛れる為の姿に見えたのだ。



ディンカ達が予想でその三人組を追いかけた後、ゆっくりとだが周りを警戒しながら町の門を出る商人風の男がいた。

その顔は三人組に命令していた男の顔にどこか似ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ