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遺棄命令

走空車グエルの操縦を楽しんだスコルナ伯爵は湯船につかり汗を流していた。

その両脇には美女が二人、伯爵の腕や肩をマッサージしている。


「ふむふむ、軽い運動の後はマッサージに限るわい。」

好色そうな顔を隠そうともせず美女のマッサージに身を任せていた。

時々その体に触れ愉悦に浸っている。


その伯爵の元に執事が慌てて報告にやって来た。

「伯爵さま、サーバル男爵の執事であるロインがやって来ました。」


自らの楽しみの時間を阻害する報告を受け途端に不機嫌になる。

「ふん。執事程度相手にする必要はない。

領民からは何も聞き出せ無いのだ。

適当に言って追い返せ!」


「はっ!」

そう言うと執事は踵を返した。


「ちっ。興ざめだ!私はもう上がる!」

スコルナ伯爵はそう怒鳴ると湯船から出た。

慌ててその体を別の女(美女)が拭きにかかる。

だが伯爵はそれを意にかさず、そのままローブを羽織ると居間に移った。


居間には先ほどに執事と身ぎれいにした男が話をしていた。

伯爵と同じ金髪を後ろに括り執事と何やら話をしていた。



伯爵は自分の椅子にドカッと腰を下ろすと男にたずねた。

「リュファスか。何か問題でもあったのか?」


リュファスと呼ばれた男、年のころは二十代後半、目鼻立ちのはっきりした二枚目である。

派手な外見に反して落ち着いた物腰と言動で男女問わず人気のある男だ。

そのリュファスが

「父上、ロインは冒険者を雇っているようです。」

と報告した。


「冒険者か。」

伯爵は忌々しそうにつぶやく。


「このまま連中が引き下がるとは思いません。

領民を口止めしているとは言え、もしもが無いとも限りません。

別邸に隠しているあれは問題ないでしょうか?」

リュファスが心配そうにたずねる。


「ああ、あれか、確かにあの大きさはお前の言う通り伯爵が持つべきものだ。

だが使えないのであれば無用の長物だな。

捨ててくるか・・・・・」

と言って居間の窓から外を見た。


伯爵が見た窓の向こうにはシラアエガスの白い頂が見える。

それを見たリュファスは


「すばらしい!!

父上はアレをシラアエガスに捨てて竜の仕業にする。

正に父上ならではの知略と言えましょう。」


その言葉を聞いたスコルナ伯はニヤリと笑った。


(くくくくく、シラアエガスか、確かにいい。

それに竜の仕業にするのも悪くない考えだ。)


伯爵は執事に

「別荘に置いているあれを今夜のうちに捨ててこい。」

と命令した。


「しかし、伯爵さま。閉じこもっている二人はいかがいたしましょう?」

執事は伯爵に疑問を述べた。


「内側から鍵をかけ何日も閉じこもっているのだ、

あの二人はあの世に行っている事だろう。

何も問題はない。捨ててこい!」


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