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魔導士は攻略員を募集する

”ダンジョン討伐依頼”


それはダンジョンを完全に殺すための依頼である。

ダンジョンを産業として活用している王都近郊ではほとんど行われない依頼である。


ほとんどと言うのは、出来てはいけない地域。

街道のすぐ近くや、農地などに出来る場合、討伐されることがある。

が、滅多にそのようなことは起こらない。


しかも、大型ダンジョンの討伐依頼は王国始まって初めての事だった。



「ここでは問題がありそうなので、詳しくは王都の中、アルベティの会議室を借りましょう。」

そう言うとドレッドは馬車に合図し王都へ入るように促した。

「では、我々も。」

「え?でもまだ開門じゃ?」

「こう見えても、ある程度融通は利くのですよ。」

ドレッドは元王国騎士団長である。

緊急事態という事で開門を早めることは造作も無いことなのである。



アルベティの会議室に移動したカイ達の前に王国のSランクギルドのギルド長が何人か集まっていた。

走空車グエルという新型魔道具で来た事と、ドレッドが声を掛けてくれた為のようだ。


集まったギルド長の前でヴァニアは詳しい説明を行った。


輝く星シラギリスの森の南側だと・・・穀倉地帯か!」

「あそこが汚染されると王国は重大な食糧難に陥る。」

「王国軍を招集しても間に合わぬ。あれは時間が掛かりすぎる。」

「だが、我々でも輝く星シラギリスの森だと王都から1か月はかかるぞ、間に合うのか?」

「いや、そもそも、緊急依頼をするのになぜ鳩を使わない?」

各ギルド長の目がヴァニアに向けられる。


「鳩と同じぐらいに早く王都まで来れるからにゃ・です。」

緊張のあまりいつもの口癖が出てしまったようだが、それを聞いたギルド長達は

「なんだと!!辺境の地から鳩と同じくらいの速さで王都に来れるだと!!」

「いったいどうやって?」

途端に会議室がざわつく。


その中で、錬金術ギルドのギルド長らしい人が

「それは君たちが載って来たあの乗り物が可能にした・・・という事かね?」

「はい、それで間違いありません。」


「「「「「おおおおー」」」」」


会議室に呼ばれたギルド長達は一斉に感嘆の声をあげる。


「あの魔道馬車?に乗れるのは6人ぐらいだから、運転手も入れるとメンバーは十人ぐらいか。」

「大型ダンジョンとなると各ギルドから選りすぐりの人員を選抜しなければなりませんね。」

「前衛後衛の構成を含めた最上の人員を決めねば・・・。」

ギルド長達が様々に思案し意見を出しているその時にカイは声を上げた。


「お待ちください。ダンジョン攻略の人員ですが、当ギルドは200人以上を予定しています。」


「「「「「な、何んだと!」」」」」


「馬鹿な。あの魔道馬車?がもっとあると言うのか?」

「いったいどこに?」

「・・・・そうか!空間収納か!!」

カイの傍らにある鞄を見たギルド長が答えた。


「はい。この鞄ともう一つの鞄は空間収納付きで今回の大型化した物が合計八台入っています。」

そう言うとカイは自らの鞄を叩いて見せた。



二日後、王都の北門、リモーデの方面へ向かう街道がある門の前に白銀の大型走空車グエルが八台並べられていた。


「流石に大型の走空車グエルが並ぶと壮観にゃ。」

ヴァニアは緊張していないのか、いつものメンバーの前だからかいつもの口調に戻っている。

「でも操縦者を選ぶのに一日がかりになるとは思いませんでした。」


大型と言っても速度が上がるわけではない。

操縦者は交代で動かすとしても、一台当たり二人は必要になる。


「まさかほとんど全員が操縦を希望するとは思いませんでしたよ。」

「仕方ない、それが冒険者。」

ルリエルは冒険者とはその様な人だと言う。

「確かに。それだから、この条件に300人も集まったのだな。」


カイの出した条件とは、

・個人報酬は一人当たり1日1000GP、最大1万GP

・各ギルドへの報酬は走空車グエルを1台

・30人を超える人数を参加させたギルドには追加報酬として大型走空車グエルを1台

・報酬の走空車グエルは各ギルドで管理する事。他に譲渡や売買は禁止。


攻略個人報酬だけで用意した現金は無くなる計算だ。

しかしこの条件、カイにとっても都合がよかった。

何故なら王国に影響のあるSランクギルドに走空車グエルを多数報酬として出すことで王国の走空車グエル独占を防ぐことが可能だと考えられるのだ。


「よし、それでは出発!」

今回のダンジョン討伐のリーダーを任されたフェールズのギルド長、ドレッドの掛け声とともに大型の走空車グエルが順次出発していった。


空高く進む白銀の車体は一路シラギリスの森へ向かう。

ただ、ドレッドにも疑問に思うことが一つあった。

ダンジョン攻略の為に冒険者、それもSランクギルドの冒険者を集めるのは理解できる。

カイと言う魔導士はそれだけでは無く、AランクやBランクのギルドからも冒険者、それも魔法使いを募集した。


ドレッドはダンジョン攻略にAランクやBランクの冒険者が必要になるとは思えなかったのだ。

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