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Sランクギルドを追放された魔導士、田舎でスローライフもくろむ・・・が?!  作者: 士口 十介
魔導士はスローライフを始めたつもりらしい。
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魔導士は毎日魔法陣を刻む

その日、魔導士のカイは一つの提案をした。


「次の緑の日からニ、三週間に海へ行かないか?」


工房内にいるルリエル、フィリア、グメル、ガミラの四人は


「その前に回復薬、作るべき。」

「計画は良いのですが、その次の日以降が予約で埋まっています。」

「そんな暇があるんだったら魔法陣を刻むのじゃ。そして酒を造るのだ!」

「精霊石をカットするのだ!酒のカットはダメだぞ!」


今現在、カイの工房は魔力焜炉の製作に大忙しだった。


魔力焜炉なら他でもできそうだが、ここリモーデが一番生産するのに向いた町だった。


焜炉の動力源となる精霊石は輝く星シラギリスの森が。

魔法陣を刻む金属板や焜炉本体、五徳は鉱山の町アインヴィルが。

近くにすべての材料が調達できる場所がある。


リモーデに魔力焜炉の生産が集中するのは当然の事だった。


カイも何もしなかったわけではない。

魔力焜炉の普及に当たり設計を魔法陣が五重の上級型、三重の一般形、二重の簡易型の三種類とし、

町の錬金術師に焜炉の製作方法を伝えていた。


が、町の錬金術師は二重の魔法陣は可能だが、三重や五重の魔法陣が出来ない。

二重の魔法陣を作ることで錬金師の技量は上達しているのだが、時間が足りない。

せめて三重の魔法陣を刻めて欲しいのだがそこまで上達していないのだ。


今の所、リモーデで五重と三重の魔法陣を刻めるのはカイだけなので、

この工房でしか上級型と一般形は作ることが出来ない。


フィリアも何とかスケジュールを調整して一週間の内一日は休める様にしているが、

長期休暇を取ることが出来るほどの数は揃っていない。


「デスヨネー」


カイが少しがっかりしていると、フィリアが


「でも、再来週の白の日なら今のところ大丈夫ですよ。

でも三週間は難しいと思います。」


「ほんと!」

海に行くことが出来ると聞き途端に元気になるカイ。


「あくまで予定が入らなければ、ですけれどね。」

当のカイにはフィリアのそんな声は聞こえていなかった。


「よし!そうとなれば、急いで注文を終わらせるか!」


早速、魔法陣を刻む作業に取り掛かるカイ。


しかし、世の常として計画と言うのは変更されるものである。


実際カイが海に向けて出発できたのは、更に二月後、

そろそろ王都では精霊石のオークションが始まろうとし、

リモーデの町にも腕のいい錬金術師が集まりだした時だった。


簡易型だけでなく普及型も他所の工房に任せることが出来る様になって

ようやく休日(海に行く)を取ることが出来たのだった。


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