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Sランクギルドを追放された魔導士、田舎でスローライフもくろむ・・・が?!  作者: 士口 十介
魔導士はスローライフを始めたつもりらしい。
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辺境伯は目算を間違える

”魔力焜炉”

今ではどの家庭にもある調理道具である。

この画期的な調理道具が最初に作られたのは、リモーデの工房であると記録にはある。

しかし発案者の名前は残されていない。

更にリモーデにある工房の多くが最初に作られた場所とされている事も要因の一つだろう。

  -共和国歴124年 ヴァイシュタイン・ノイヌーン著 「魔力機の歴史」より-


「辺境伯様、これをご覧ください。」

辺境伯の筆頭執事であるガイストは白い四角い台のような物を差しテーブルの上に置いた。


「爺よ。これは何だ?」


「町の門番からの報告で

“商人がこの様な物を隣町に持ち出そうとしている。ついては判断を仰ぎたい“

との事です。」


差し出された台の様な物の上には環に三つ足が付いた台があり、

環の下の台には四重の魔法陣が刻まれている。

台の横には丸い円盤に棒が付いたものがあった。


「奇妙な台だな。うむむ?」


辺境伯は台や環をペタペタと触る。

そして、円盤の棒を


「ほう、これが動くのか。どれ」


グルリと勢いよく回した。


次の瞬間、


ボッ!!


魔法陣から炎が吹きあがった。


「うぉ!????」


「爺!火が出たぞ。」


「はい、辺境伯。これは火を出す魔道具で“魔力焜炉”と言う物です。」


「火を出す?それで敵を焼き殺すのか?」


「いえ、これは鍋を温めるかまどの様な物です。」


「かまどか・・・これが?」

辺境伯は興味がなさそうに答える。

彼は貴族であり男子であり、食事を作った事はない。

料理に興味がない限り”かまど”は無縁の物なのだ。


魔力焜炉の火はまだ燃え続けていた。


「爺、この火は何時になったら消えるのだ?」


「精霊石がある限り消えません。消す場合は丸い円盤の位置を元に戻すのだそうです。

それに煙を出さない上、焚火の跡がありません、そもそも薪を必要としません。」


「・・・煙も出さず薪も必要無いのか、行軍の時に便利だな。」


「はい。冒険者や領民の間でも人気の品だそうです。」


「素晴らしい!

さぞや有名な錬金術師が製作したものに違いない。

それともアインヴィルのドワーフ達に作か?

シラギリスのエルフ作なのか?」


「それなのですが・・・」


「爺?」


「魔導士のカイ殿らしいのです。」



「な、なんだってー!!」

辺境伯は驚嘆の声を上げた。


「・・・・・・・・・・・・・爺」


「魔導士殿はSランクギルドをクビになったのだよな。」


「はい。間違いございません。

能力の足りない人物であるとの元ギルドからの証言もあります。」


「その様な人物が何故、この様な物を作ることが出来るのだ?

回復薬製作が得意なだけの人物ではなかったのか?!」

と言って辺境伯は魔力焜炉を指す。


「それは・・・“元ギルドの証言が間違っていた”としか。」


「私は魔導士殿の実力を完全に見誤っていたという事か・・・」


辺境伯は元々こんな辺境に実力のある魔導士が来るとは思っていなかった。

ある程度の回復薬が手に入れればよいとしか考えていなかったのだ。


更に彼は武人であり魔法や錬金術に精通しているわけではない。

彼の錬金術の基準は回復薬を注文した錬金術師、王都と辺境リモーデが基準なのである。

王都の錬金術師を1とするなら辺境は0.3ぐらい、カイの場合はせいぜい2~3であると、

その上で報酬が十倍なら問題ないと高をくくっていた。


ダンジョンコアの破壊にしても、同行の地元冒険者の協力合ってもののであると思っている。



「爺よ。この町に留まってもらう為には実力に見合った官職に就けなくてはならないか。

その上で何らかの褒賞を与えねばなるまい。」

「左様で。」


数日後、辺境伯はカイを呼び出した。

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