始原竜はかく語りき
遥か昔……そうじゃな、人もエルフもドワーフも獣人も幼かった時代よりも遥か昔。人やエルフやドワーフや獣人、そして竜さえいなかった時代。
世界を形作ろうとしている善神達とそれを妨害しようとする邪神達との戦いがあった。
善神達が何のために世界を作ろうとしていたのか、邪神達が何故妨害していたのかは定かではない。
じゃが両者の間には激しい争いがあった。
彼らの戦いは想像を絶するほど激しく、天は震え海は裂け大地は砕けるほどであった。
そんな中、邪神達に対抗する為に数々の始原竜が神々の手によって作られた。始原竜の強さは今の我らと比べても圧倒的で数々の邪神達を滅ぼしていった。
善神達と邪神達の戦いも、次第に天秤が傾き善神達は優勢になっていった。
そんな中、始原竜の中にも優勢故の油断からか邪神に捕らえられたものもいる。 邪神達は起死回生の手として捉えた始原竜を元に悪魔達を作った。いや、悪魔に作り替えたと言っても良い。
悪魔たちの参戦で傾いた天秤は再び拮抗状態となった。
未来永劫続くかと思われた戦いも、次第に善神達や邪神達の両者の数を減らし善神“＃＄！“＃＄”と邪神“＊＋－／＊＊＊”だけになってしまった。
両者による激しい戦いは未来永劫続くかと思われた戦いも、次第に天秤が傾き、善神“＃＄！“＃＄”が邪神“＊＋－／＊＊＊”の魂を砕いた。
だが邪神“＊＋－／＊＊＊”の魂を砕いた反動は凄まじく、善神“＃＄！“＃＄”もまた傷つき倒れた。
こうして神々の時代は終わった。
倒れた善神“＃＄！“＃＄”の体は徐々に世界を覆っていった。
善神“＃＄！“＃＄”の皮膚は豊かな大地となり、流したその血は大海原となった。髪は大地を巡る龍脈となり善神“＃＄！“＃＄”の魂である神力を世界の隅々に運んだ。
やがて善神“＃＄！“＃＄”が生み出した大地から数々の命が生み出された。その中でも知性を持ち言葉を話す者がいた。それが人族、人間やエルフやドワーフや獣人達である。
善神“＃＄！“＃＄”の魂が世界中に広まったのと同じ様に邪神“＊＋－／＊＊＊”の魂の砕かれた魂も世界に広まっていた。
その砕かれた魂もまた善神“＃＄！“＃＄”と同じ様に数々の命を生み出した。
それが魔物である。
また、邪神“＊＋－／＊＊＊”の砕かれた魂の欠片は善神“＃＄！“＃＄”の魂の欠片と融合し出来たのが迷宮核である。
この時の世界は生まれたばかりの者達には厳しくつらい世界であったが細々と各地で生きていた。
我々始原竜、十二柱は運よく生き残った。じゃが、我々始原竜と同じ様に悪魔たちも運よく生き延びた者もいた。
悪魔たちは魔物を率い、人族を滅ぼそうと画策していた。
おそらく、善神“＃＄！“＃＄”によって生み出された物を滅ぼさずにはいられない様になっているのであろう。
我ら生き残った十二柱は新たに生まれた種を守る為、各地に散らばっていった。
時には人族の姿を取り彼らと交わり知識や技術を伝えていった。
そうして徐々に人族は繁栄し最初の帝国を形作る様になった
この頃我々は迷宮に注意を向けてはいなかった。
だが悪魔どもは帝国各地の迷宮を魔物で溢れさせ帝国崩壊につながる大規模大暴走を引き起こさせた。
それまでの迷宮は定期的に魔物を排出するだけの物じゃった。この頃の迷宮で生み出される魔物はそれほど脅威ではない極めて弱い個体ばかりだったのじゃ。
じゃが、悪魔はそこに目をつけたのじゃ。
迷宮核に細工をして定期的に排出されるはずの魔物が迷宮から出ることが無いようにしたのじゃ。
そのやり方も巧妙で、徐々に排出される数を減らすようにした為、我らでも気づくことが遅れた。
その上、迷宮内で魔物が過剰に多く生息することとなり弱い魔物が淘汰されより強い魔物が生き残る。そしてその強い魔物をベースに魔物を排出するようになったのじゃ。
こうして大規模大暴走は引き起こされそれと同時に悪魔たちが牙をむいた。
悪魔たちは迷宮核を取り込んだ魔王種とも呼ぶべき魔物を操り、人族を追い立てた。
悪魔が操る魔物の勢いはとどまることを知らず、あわや人族は全滅寸前にまで追い込まれた。
我らも魔物を直接倒すことが出来ればよかったのじゃが“同格以上の者以外への攻撃を禁じる“という善神の誓約があるが故、魔物を直接倒すことは出来なかった。
幸いなことに始原竜を元にした悪魔どもも同じ誓約を受けていた。
じゃがそんな中、我ら始原竜の加護を受けた者達が魔物達に反旗を翻した。
まぁ、その時じゃな我らが神としてふるまったのは。
こうして我ら十二柱の加護を受けた者達は見事、魔物の軍勢を退けた。
その中に一人が、建国の父、リヒトファラス一世なのじゃよ。
あ奴に加護を与えておったのが黄金の始原竜“ベレーヌ”じゃ。
