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Sランクギルドを追放された魔導士、田舎でスローライフもくろむ・・・が?!  作者: 士口 十介
外伝:帝国紀行

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帝国紀行 その2

シタージの町は四方を15mほどの石壁に囲まれた城塞都市だ。

そのシタージの門を斥候がくぐったのは、村で町の場所を訪ねた日から数えて二日後、

翌々日の夕方になっていた。


途中、盗賊や魔獣などが出て特別時間が掛かったわけでもない。

それどころか道中は平穏であり何も問題は無かった。


実のところ一昼夜かけて道を急ぎ、翌朝にはたどり着いていた。

話をした村人が怪しんだ結果、追っ手を差し向ける可能性を考慮した。

流石に一昼夜ずっと移動しているとは思わないだろう。

斥候はそのまま町の門で手続きは行わず、

道から外れた物陰から町の出入を観察していたのだ。


町の門には衛兵がいる。

衛兵に怪しまれて、万が一にも斥候だと明るみになれば使命を全うすることが出来ない。


(門限間際の検査が緩いか・・・)


斥候は何時の時間の検査が緩くなっているか確認していた。

やはり、何処の都市でも同じ様に門限間際の検査は緩くなる様だ。

シタージの門から続く列に斥候は並ぶ。

門限が近いこともあり、外へ出ていた町の住人も斥候の後ろに続いて並んだ。



「よし、次は見かけない顔だな。

またあれか、お上りさんだな。」

門番が聞きなれない言葉を話す。


「お上りさん?」


「ああ、お前さんの様に田舎から王都を目指してやってくる連中の事さ。

連中、石の壁が珍しいのかキョロキョロするからすぐ判ったぜ。」

どうやら門番は斥候の事を勝手に勘違いしていた。

実際は石壁の具合を見るのに見ていたのだが、

良い方に勘違いしてくれたようだ。


「入るのは銀貨1枚だ。」


「これで足りるでしょうか?」

斥候は懐から金粒と銀粒を何個か取り出す。


「貨幣も無いのか。

お前さん、すごい田舎から来たんだな。」

門番は金粒と銀粒を一つずつ受け取った。


「お上りさんにいいことを教えといてやる。

通りをまっすぐ行って三つ目の角に

“跳ね馬亭”と言う名前の宿がある。

そこなら銀粒でも取引が出来る。

値段も手ごろだぜ。」


門番の様子から賂を貰っている様には見えない。

多分親切心から教えてくれているのだろう。



斥候が門をくぐり町の中に入る。

まず目についたのか完全に舗装された石畳だ。

石畳は馬車が通る道と人が歩く道に分けられ

事故を起こさない工夫がされていた。


石畳に使われる石の大きさも整っており、

帝国の加工技術の高さを窺わせた。


(確か三つ目の角だったな。)


門番の言う通り“跳ね馬亭”と言う名前の宿がある。

外からの雰囲気は悪くない。


斥候は周囲を探った後“跳ね馬亭”に入って行った。


“跳ね馬亭”は中年の夫婦が切り盛りしている宿屋で

客層は一般市民が対象、雰囲気も明るく掃除が行き届いている。

情報収集にはもってこいの宿屋であった。


だが、斥候は注意を怠らない。

この様な宿屋にこそ、この国の諜報員が潜んでいる可能性が高い。

周囲を物珍しそうにきょろきょろ見渡す。

いかにも田舎から出てきた様に見える。


「何だい?お客さん。内の宿が珍しいのかい?」


しびれを切らしたのか宿の女将が斥候に声をかける。


「こんなきれいな宿に泊まるのは初めてな物で・・・」


「そうかい。内の宿は一泊銀貨3枚、食事は別に銀貨1枚だ。」


斥候と話す女将は何処か嬉しそうだ。

自分たちの宿を褒められて悪い気はしないのだろう。


斥候は宿を食事付きで一泊することにした。

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