魔導士は”こんなこともあろうかと”と言った
魔道砲の反動で逃げる相手に追いつく。
そう決定した後の行動は早かった。
「船内に連絡。
魔道砲の反動に備え各員体を固定。
影響を受けそうな物は固定するか収納せよ。」
カイの指示の元、反動で壊れそうな物は収納庫に収められ、収納できない大きな物は適当な場所に固定される。
「だが、カイ。
反動で追いつくと言うが、反動制御装置をつけていたのでは無いのか?」
精霊石機関室とやり取りをしているグメルが訊ねる。
「大丈夫だ。
こんなこともあろうかと反動制御装置は制御する反動の大きさを変えられるようにしている。」
「ならわしが言うことは何もない。
何時でも魔道砲の発射態勢に移ることが出来るぞ。」
カイの言葉に納得したグメルが魔道砲発射の準備が整ったことを告げた。
「ディンカ。魔道砲発射用意!」
「了解!照準器開け!
対閃光防御!」
カイは対閃光用のゴーグルをかけスタンに指示を出す。
「反動を利用して相手に接近する。
飛行船の操作は任せる。
場合によっては体当たりを行え!」
「了解!
この一撃で動きを止めて見せる!!」
「魔道砲内圧力上昇。烈風弾充填120!」
「魔道砲発射!!」
ゴォウと荒れ狂う嵐が飛行船“メルカバⅡ”から撃ち出された。
その威力はすさまじく、辺りの空気をビリビリと震わせる。
反動制御装置を切られた“メルカバⅡ”はその反動によって奪取された飛行船の方へ猛烈な速度で突き進んで行く。
一方その頃、奪取された飛行船の中ではスコルナ軍の兵士たちが任務の成功を確信しつつあった。
「ここまではなれれば追いつけまい。」
「そうですね、隊長。
この走空車は今までの物より速く移動できますから・・・」
「よし!これでこの走空車があればわが軍は百年・・・」
ドゴッ!
隊長格の男が何やら言い終わらない内に飛行船に衝撃が走る。
「何事だっ!」
「判りません。
何かがぶつかったような・・・」
「あっ!」
部下の一人が隊長格の男の後ろを指した。
そこには武器を構えて立つディンカやバハル達が立っていた。




