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リモーデの危機 その5

スコルナ軍を倒すだけなら簡易魔道砲の三射で済む。

撃墜してしまった場合、寄子であるサーバル領にどんな要求があるかわからなかった。

増えた領地を返すどころか、領地を没収されかねない。


元々はカイの部屋だった最上階は艦橋として改造された。

艦長が座る座席は一段高い位置にあり、カイはそこのひじ掛け椅子に肘をつきながら


「前のスコルナ伯は困った人だったから、その部下に困った人がいることは予想したけど、

これはそれ以上だな。」


と呟いた。


艦橋の一番前には座席が三つ並べられており、真ん中に操縦席、その左に各種武装の操作をする戦闘座席、

右に索敵や防御を行う管制席。

左右の座席の後ろ、左側には精霊石回路のコントロールを行う為の座席が、

右側には通信の為の座席が置かれていた。


それぞれの座席


操縦席にスタン

戦闘座席にディンカ

管制席にフローム

コントロールの座席にガミラ

通信席にニライ


が座っていた。

それぞれの座席は二から三交代制で運用されている。


「ガミラ。防御シールドはどのような状態だ?」


「全く問題ない。

あの程度の魔法攻撃なら何万回と攻撃されたとしても傷一つ無いぞ。」


「フローム。他に飛んでいる走空車グエルは存在するか?」


「ないね。少なくとも50㎞内に一台もないよ。」


「カイ、どうする。

必要なら撃ち落とすが?」

戦闘座席に座るディンカが尋ねてくる。


「簡易魔道砲の威力を確かめるのに最適な相手だが、兄上に迷惑がかかるかもしれない。

今は静観しておこう。

向こうの攻撃ではダメージを受けないみたいだし、防御シールドのテストと思えば問題ないか。」


「そうか、ならこのゴーグルの出番はまだだな。」

とディンカはゴーグルを手に取ると頭にかけた。

ゴーグルは耳も覆う様に出来ており魔道砲発射時の閃光と轟音から身を守る物である。

「しかし、新しいスコルナ伯は出来のいい人物と聞いていたが・・・

あの連中が部下だとすると、その評価は当てにならない様だな。

フロームはそう思わ無いか?」


「いや、ディンカ。

どちらかと言うと、領主になる為、猫を被っていたのではないかと思う。

ま、その程度、小物だともいえるけどね。」


だがそのフロームの評価は誤りであったと判るのは、呪文の使い過ぎで疲れ果てたスコルナ軍が去った後の事だった。




「兄上?今何と?」


「リュファス・スコルナはリヒトファラス王に反旗を翻した。

自らを“スコルナ国王”と名のっている。

既にゲインシュタッドを陥落させ、王国内部に侵入している。」


停泊した飛行船レヴィキア“メルカバⅡ”からカイ達が降り立つと、カイの兄、ハロルドが駆け寄ってきた。

そして驚くべきことを聞かされたのだ。


「いや、まってください。

スコルナはどうやってゲインシュタッドを陥落させたのだろうか?

それほどの軍隊を持っているのなら、王国に察知されると思うのだけど・・・」


「カイ。

お前のあの箱の様な走空車グエルを見ただろう。

スコルナはあの走空車グエルを50台近く持っている。

それを利用して、夜間、空から奇襲をかけたのだ。」


走空車グエルを50台!!

でも、それほどの走空車グエルをどうやって・・・・待てよ。

スコルナには壊れた走空車グエルがあったが、あれが完全に壊れていなかった

もしくは、壊れた走空車グエルは偽物だったとすれば・・・。」


「そうだ。

お前が考えている通り、スコルナの走空車グエルはその壊れかけた物を参考に作り出したのだ。

中には大型化した物もあると言う話だ。」


「だけど、あの動きからすると旧式の走空車グエルからあまり変わっていない。

こちらの最新鋭である飛行船レヴィキアとは比べ物にならない。

ん?・・・・・スコルナ軍は王国深くに侵入した・・・」


ひとしきり考えていたカイははっとした顔をする。


「不味い。

スコルナ軍の狙いはリモーデの工房。

最新鋭の飛行船レヴィキアだ!」


その言葉に反応してディンカが訊ねる。

「国王専用の奴か?」


「いや、あれは駆動機関や精霊石機関を取り付けるようになっていない。

“メルカバ”の後に作らせている飛行船レヴィキアが危ない。

あれは“メルカバ”の構造をもっと単純化したものだ。

三ヵ月もあれば外装無しの飛行テストが可能だ!」

カイ達はエルフの国から飛んで来た為、最近の王国の話は知りません。

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