表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sランクギルドを追放された魔導士、田舎でスローライフもくろむ・・・が?!  作者: 士口 十介
王国動乱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

143/186

騎士団の壊滅

ゲインシュタッドの攻略にあたって、騎士団の天幕では会議が行われていた。

会議の出席者は各騎士を派遣した貴族達である。


「わざわざ並べているアレは何であるか?」

側で控えている騎士に尋ねたのは、総大将を務める、ブラウン侯爵である。

体の線が細く神経質そうな顔つきだ。


「わざわざ城壁の上に並べている以上、我々に対するものと思われますが、どの様な物かは判りかねます。」

「で、あるか。判るまで迂闊に攻められぬな。」


ブラウン侯爵が様子見を提案したのに対し、ガタイの良いウォルト侯爵は机を叩き反論する。

「攻めて見れば何であるか判るであろう!

ブラウン侯、あなたの方法ではいたずらに時間が過ぎるばかりだ!」


「ですが、ブラウン侯の話も最もだと思いますよ。

無理に進軍を行なって、手痛い反撃を食らえばゲインシュタッド攻略が遠のく一方だ。」

ウォルト侯に反論するのは中肉中背のシュプリンガー子爵である。

彼はブラウン侯爵の依子でもあった。


「ならば、どうやってアレが何であるか知るのだ?

知るためには攻めてみるしかあるまい。」


「それならば、走空車(グエル)を使ってみてはいかがでしょうか?」

シュプリンガー子爵の側にいた騎士が提案する。


走空車(グエル)だと?

アレは田舎の魔道士が作ったものではないか。

とても戦の役に立つとは思えん。

第一、走空車(グエル)を持っているのはギルドがほとんどで、我々にはあまり回ってこない。」


ウォルト侯爵の言う通り走空車(グエル)は貴族達の手にあまり入っていない。

これは貴族仕様の走空車(グエル)製作に時間がかかるためである。


「では、ギルドに依頼なされてはいかがでしょうか?」


それを聞いたウォルト侯爵は

「何を言っているか!

騎士の誉れたる戦働きにギルドの手など以ての外である!

お前の様な者はこの天幕には要らぬ。

出て行くがよい!」

と、激怒した。


ブラウン侯爵やシュプリンガー子爵も頷いている。


ギルドとの連携を申し出た騎士はその日の内に王都へ送り返された。

だが、彼にとってこの事は幸運であった。


「・・・では、まずウォルト侯が様子見で攻めてみて、相手の手を探るという事でよろしいですね?」

「うむ、ワシはそれで問題ない。

相手がどんな策を練ろうとも打ち破れば良いのだ。」

ウォルト侯爵は自分が先陣を切ることができ、満足の様だ。


ウォルト侯爵に騎士30騎と従士300を前線に、残りをゲインシュタッドから500mの位置に本陣として布陣となった。


「この本陣にいれば安全だな。

シュプリンガー子爵よ。」

「左様で。

ゲインシュタッドからここまで500mは離れています。

弓矢など届きませんからな。」

「危険な前線はイノシシのウォルトが引き受けてくれたしな。」

「全くで」

ブラウン侯爵とシュプリンガー子爵は顔を見合わせ笑いあった。


だが、彼らは知らない。

すでに攻撃範囲に入っていることを。



翌朝、夜明けとともにゲインシュタッド攻略が開始された。


ウォルト侯爵率いる騎士30騎、従士300人が攻略を開始する。

まず破城槌が運ばれて城門に対し攻撃がなされる。


二度と三度攻撃するが、城門が破れる気配はない。

1mmも動かないのだ。


「どうなっている?

まるで壁を叩いている様だ。」

ウォルト侯爵が思った通り、城門は土で埋められていたのだ。


そうしている間に円盤状の物が唸りを上げ、その恐るべき牙を本陣で静観している者に突き立てたのだ。


トン


唸りを上げる円盤状の物のうち真ん中の物から丸く黒い影が飛び出した。


その黒い影は本陣を遥か超えた場所に到達すると、大きな土煙を上げた。


続いて二つ目の影が飛び出す。

黒い影は本陣前で布陣している従士達を引き裂き肉塊に変える。


「うぎゃ!」

「何だ!何だ!」

「何処だ何処からの攻撃だ!」


騒ぐ騎士や従士に対し、雨のように黒い影はが襲いかかる。


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


濛々と土煙が立ち込めた。

その土煙が消え去った後には変わり果てた騎士や従士の姿があった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ