白亜の試練 その1
「どうぞ座って下さい。
お話は食事をしながら致しましょう。
アイナリンド、貴方もどうぞ。」
“クレタ”と名のる女性は食事を勧める。
「では、失礼します。」
カイ達は席に着き食事を始めた。
「!!
これはすごい。
今まで食べたパンが石を食べていたかと思うような柔らかさだ。
それに味も香りも次元が違う。」
パンを食べたカイが絶賛する。
「このスープも素晴らしいですよ。
一体何を使ってこの様な味になるのかしら??」
「美味。」
フィリアもルリエルも料理をほめたたえている。
「アイナリンドさん。
エルフの町ではこの様な料理を出されるのでしょうか?」
疑問に思ったフィリアが訊ねた。
「いや、私もこの様な料理は初めてだ。
我々にはここまで洗練されたものはまだ無い。
それにエルフでは苦手とする特殊な発酵品が・・・」
と言って指さしたのは糸を引く豆であった。
「これはいったい?」
カイは興味深く見つめる。
「え、ええ?これ腐って??」
フィリアはその豆を見て腐っていると思った様だ。
「ふふふふ、それは東の国でよく食べられるものだよ。
美容と健康に良いとされる食べ物だ。
かの国にはその様な食べ物が数多く存在する。」
そこまで言うとクレタは
「だが、腐った豆を警戒するのに、その他の食べ物は全く警戒しないのは何故でしょう?
私が一服盛るとは考えないのですか?」
とカイ達に問いかけた。
「食事に何かの細工をする場合、それは相手が自分よりも強い場合です。
弱い相手に細工をすることは考えられません。
我々とクレタ殿にはそれだけの差がある為、警戒する必要はないと考えたのです。」
とカイは答えた。
それを聞いたクレタは頷いている。
そして
「なるほど。
あなた方はそれ相応の資格をお持ちの様です。
ですがあなたが聞きたいことはおいそれと話せることではありません。
それは資格を持った者が試練を潜り抜けて手に入れることが出来ます。」
とクレタは話した。
「試練ですか。それはどの様な?」
カイはクレタに試練について尋ねる。
「単純なものです。
この部屋を出た次の部屋にある階段を下り、ワタシの元へやって来ることです。」
と言ってにっこり笑った。




