受付嬢は見た!
「ぜんばぁい、魔導士のカイさんぐわぎまぜん。」
受付嬢のフィリアが同僚のリップに泣きついた。一日ぐらいだと何かの急用とも考えられる。
だが、三日も連絡が来ないのなら何か問題があったと考えるべきだろう。
「何があっづあのでしょうが?」
涙声でフィリアが受付嬢の先輩であるリップに訊ねる。相談されたリップは少し困り顔だ。
「確かに何かあったかもしれないわね、うーん。」
「や、やっぱぢ。わだしのだいおうがよぐながったんで……。」
「あらあら。受付がそんな顔ではいけませんよ。」
依頼書の束を持つ銀髪の巨乳美人が声をかける。
「「ドロシー先輩!!」」
彼女はフィリアやリップの先輩でありギルドの受付嬢の中では最も優秀な人物である。
その容姿から多くの冒険者(男)を魅了しているが、女冒険者の評判も良い。
「はい、フィリアも涙を拭いて。」
「ずみばぜん。」
「……そうね。確か、工房は西区のN番地でしたかしら?今日依頼があった所の近くね。」
ドロシーは持っていた依頼書をパラパラとめくり一枚の依頼書を取り出した。
フィリアは不思議そうな顔をしているとドロシーはフィリアにニッコリ笑ってその依頼書を差し出す。
「フィリアさん。あなたはこの依頼の調査の為、西区のN番地へ行ってください。」
「はい?」
「でも、その調査後に工房を訪れるのは問題ありませんよ。」
ドロシーの言葉を聞いてフィリアはにっこり笑う。
「!はい!頑張って調査してきます!!」
フィリアは依頼の調査票を受け取ると素早くギルドを飛び出していった。
「あらら、速い。ドロシー先輩。その依頼って何だったのです?」
リップは今までとはうって変わった速度で行動するフィリアを見てたいへん驚いた様だ。
「何でも“西区のN番地で人が集まって通行の邪魔になるから何とかしてくれ”とありましたね。」
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フィリアが西区のN番地へ行くと確かに人だかりが出来て通行の邪魔になっている。
「うーん。この人の多さ確かに通行の邪魔ね。でも何故かしら?ここにはまだ何もなかったはずなのだけど?」
教会の施しの場合、今日の食料を求めて人々が多々集まる事がある。大抵、きわめて貧しい人々、王都でいうスラム(この町にはない)の住人でその身なりから簡単にわかる。
しかし、ここにいる人たちの多くは冒険者や町の住人、とても貧しい人々には見えない。
「なんとか三本入手したぜ。」
「後二本は欲しかったが……。ま、何とかなるだろう。」
「腰にはこの軟膏が良いんじゃ~。」
フィリアは口々に呟く人々の間を通り彼らが集まっている建物の前に出る。
「すみません。ギルドの調査に来ました。この騒ぎは何ですか?」
「え?ねーちゃん知らないのかい?錬金術師さんだよ、錬金術師。」
「そうそう、俺達は回復薬を求めてここに来てるんだ。」
建物の中を見ると訪れた人々が口々に注文をしている。
「傷止めの軟膏!!五つ!」
「活力剤!三本!」
「育毛剤!育毛軟膏をくれ!」
そこで受付嬢フィリアは見た!!
口々に注文を出す人に対応している魔導士の姿を。
「カイさん!ギルドに来ないで何をやっているのですか!」
「へ!?」
こちらを向いたカイの目の下には大きなクマが出来ていた。




