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魔導士は買い物に行く

カイ達の工房がある通りとは噴水を挟んで反対の位置、中央広場の東側に市場があった。

日も高くなったが魔道具の買い付けや、精霊石の買い付けの訪れる商人たちで賑わっている。


カイはルリエル、フィリア、スタンと共にその市場に来ていた。


「フィリア、今日は留守番じゃなかったのか?」

カイが同行しているフィリアに聞いてみた。


「いえ、工房の帳簿を預かる者として同行するのは当然の事です。」

当然の事の様にフィリアは答えた。


「ところでカイさん。行くのはやはりいつもの?」

スタンが行き先を訊ねる。


「ああ、サウルさんの所だ。

いつも質の良い薬草を仕入れるからな。」

と、カイが答える。


サウルの店は通りから少し奥に入った所にある。

小さな店だが置いている品物の質はよく、冒険者や錬金術師の間では隠れた名店として知られている。

その店ではサウルの娘のミアが店番をしていた。

店の椅子に腰かけ足をぶらぶらさせている。


「こんにちは、ミアちゃん。サウルさんはいる?」

カイは店番をしているミアに挨拶をすると、サウルの在否を訊ねた。


「こんにちは、カイさん。

お父さんは朝帰って来たけど、すぐにサーバルへ行ったの。」

ミアのよるとサウルはサーバルへカシオの買い付け出かけたようだ。

サウルによるカシオのたたき売りはリモーデの名物になりつつある。


「そうか、それは仕方が無いな。

今日は薬草を買いに来たのだけど何が入っている?」


「ちょっとまってね。

えーっと、おとぎりそうはけさ取れたばかりの物が五束、

かるだもんはおとといのが三束、せーじは二束・・・」

ミアはたどたどしく説明をしながら薬草を並べて行く。


カイは薬草を鑑定しながらミアに話しかけた。

「オトギリ草は・・・質は良い方だな。カルダモンも問題はない。

セージか・・・あまり使わないが・・・よし。」


「オトギリ草は三束、カルダモンは一束、セージは全部買おう。」


「まいどぉ。ありがとうございます。」

ミアはカイにペコリとお辞儀をすると薬草を急いで紙袋に入れて行く。


「あ、そうだ!すこしまっててください。」

ミアは何かを思い出したのか店の奥へ入って行く。

そして一分もしない内に戻ってきたその手に一冊の冊子を持ってきた。

冊子には魔法的な文様が描かれている。


「これ、おとうさんが“たのまれていたもの”だって。」


カイはミアから冊子を受け取るとパラパラとめくった。


「カイ。それ何?」

ルリエルが不思議そうにその冊子を眺めながらカイに尋ねた。


「“魔導士通信”と言う冊子だ。

季節ごとに出て、魔導士が発表した研究や成果などが載っている。

魔導士ご用達の冊子だ。」


そう言って冊子をめくるカイの手が止まった。


「これか!」


「「「???」」」

同行した三人が冊子に釘付けとなっているカイを見た。


カイが見たページには魔導士による公開実験の予定が載っていた。

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