第49話 修行と準備の日々
活動報告にも書きましたが、現在プロットの大幅な見直しをしております。
更新頻度が若干下がりそうですが、『逆転生』をより皆様に満足していただける作品にするため、ご了承ください。
何とか2、3日に1度更新はキープしたいです。
現在の俊たち5人の日常は、小学生とは思えないほどの忙しさだった。
普通の子であれば泣き出すことだろう。
月曜日から金曜までの平日の学校が終わるまでは至って普通だ。
俊であれば、朝起きてから登校するまでの間に双子にデレデレし、数時間の授業が終わり放課後になれば一旦家に帰る。そして双子にデレる。
特に代わり映えの無い、平穏な1日であろう。
だが、それからが中々ハードだ。
1つ目は魔術の修行。
例によって例のごとく、いつもの修行場所での魔術を使うための修行なのだが、今までと大きく異なる修行がいくつかあった。
まずは、攻撃用の魔術を中心とした戦う手段の確保である。
大悟であれば、より近接戦に特化した『強化魔術』の習得とその扱い方。他の魔術が苦手な分、一点特化にした方がいいという判断から。
菜々美であれば、より多くの種類の従魔の創造。特殊能力を各従魔に与え、状況に応じて従魔を召喚し、使い分けることが求められた。
音子であれば、サポート能力の高い『特殊干渉魔術』と『空間魔術』の強化。今現在の出番は少ないが、将来的に絶対に必要とされている。
椿であれば、火力となる攻撃能力が高い魔術の習得。何らかの事態が起こった時、すぐに発動できる高威力の魔術が求められた。
そして最後に俊であれば、前世の実力に戻るための総合的な魔術の修行に加えて、他の4人ができないことを新たに修行内容に加えた。
俊の目安としては、前世の実力に戻るのは中学生になった辺りだとしているので、これまで通りにしている。
俊が頭を悩ませたのは、大悟・菜々美・音子・椿の4人の苦手とすることや、協力することで倍以上の結果を出すための方法についてだ。
4人に圧倒的に足りないのは実戦経験。
5人で行動するのならチームワークが必要になる場面が出て来るだろう。その時、指揮することができるのは俊1人だ。
状況判断は聞いただけで簡単にできることではない。実戦の時にだけ感じることがある独特の“空気”を感じ取る力も必要だ。
そして、その“空気”に1番敏感なのが俊である。
音子と椿はゴミの化け物との戦いで、大悟と菜々美は河童とゴミの化け物との両方で、“空気”を感じる機会があったが、とてもではないが余裕があると言える状況ではなかったので感じる暇もなかっただろう。
念のために俊は4人に尋ねてみたが、全員「全然分からない」「命が掛かった状況で、そんなの感じるられるか」との回答だった。
こればかりはどうしようもない。地球には(今のところ)敵意を持つ魔獣が存在しないので、そのような感覚は追々ということに。
しかし、何かあった時に適切な判断を下せるのが自分1人なのは無理がある。せめて、もう1人冷静に判断できる者が欲しかった。
――消去法で音子しかいねえや……
俊の決断は早かった。音子以外の3人じゃ指揮が取れない。というか、あの3人が冷静な判断をする姿が想像できない。
~大悟の場合~
「敵に囲まれた? う~ん……よし! 強行突破!」
~菜々美の場合~
「うぇ~ん! ポチ~タマ~どうしよ~~~!?」
~椿の場合~
「交渉がしたい? 汚物は消毒に決まってんじゃないの」
はい。無理です。
これで俊たちが中学生・高校生ぐらいの年齢であれば違うのだろうが、行動開始予定は4年生になってからだ。
3人には今後に期待ということで。
ひとまずは修行の合間に音子に対して俊の特別授業が実施されることとなった。
音子も乗り気らしく、自分から疑問に思ったことを聞いてきたので、俊としても教えがいがある。
魔術に関しては、全員に覚えることを決めた魔術がある。
それが『プロテクト』だ。
簡単に言えば常時発動型の魔術で、本来の目的は不殺である。
効果は、自分が攻撃を受けても痛みだけで身体を傷つかないようにし、逆に相手に対して攻撃しても身体を傷つけず痛みだけを与える、ちうものだ。
一見すると、自分への攻撃に関してはともかく、相手まで傷つけないようすることに意味を感じないものがいるかもしれないが、ヒーロー活動をするのには必須の魔術である。痛みだけと言っても、精神的疲労や身体へのダメージは蓄積するので、攻撃を受け続ければ双方とも気絶してしまう。
だが、それでいい。
以外にも思う人も中にはいそうだが、相手を傷つけて捕まえることよりも、相手を傷つけずに捕らえる方が何倍も難しいのだ。
攻撃系の魔術を使うというなら、なおさら。
『プロテクト』なら、その辺りを気にせず魔術の行使ができる。特に椿の『火属性魔術』は加減を間違えれば容易く人の命を奪ってしまう。
俊は自分以外の4人に、人殺しをさせるつもりはない。
他にも覚えてもらいたい魔術はあるが、1つずつ確実に覚えてもらおうと思っている俊。あれもこれもとやっては身につかないのだから。
2つ目の対人戦の訓練は順調だ。
大悟の両親の都合のつく日のみという話だが、どちらも説明が分かりやすく、それぞれに合った訓練の仕方をしている。
菜々美・音子・椿の3人には、とにかく怖がらずに前へ出ることから始まり、柔術や合気道などにある無理矢理力任せにどうこうする仕方ではなく、相手の力を逆にこちらが利用して取り押さえたり転ばせる訓練が中心だ。
対して俊と大悟だが……現在ちょっと後悔していたりする。
ぶっちゃけると、千秋の対人戦の訓練が鬼だった。
きちんとお互いに了承し、加えて千秋が力加減しているからこそ大事に至ってないが、始めてからの数ヶ月だけで一体どれほどの回数ぶちのめさせられたのか。
俊は途中から数えることをやめた。
てか、子供の身体とは言え戦闘経験あるオレが手も足も出ないってどゆこと? とは俊の談。
大悟に関しては、息子だというのに千秋の容赦のない攻撃が次々と当たっていく。『強化魔術』の影響で物理攻撃に高い防御力を誇る大悟だが、精神的疲労は別である。というか、息子の防御力の高さに改めて気をよくした千秋の攻撃の激しさが増す事態に。
大悟は途中から考えることをやめた。
オレ、1年後まで持つかな? とは大悟の談。
3つ目の魔術具作りは若干進みが遅かった。
俊自身分かっていたことだが、エヴァーランドで創っていた頃とは様々な面で勝手が違う。
金属加工のプロとして寺田たち3人も手伝いたかったが、魔術具作りは根本から違う箇所がいくつもあり、逆に邪魔になってしまうと判断した。
さらに魔術具作りや植物の魔術的な品種改良ともなると、土日休みを利用しなければならず、休日を除けば週に2日しか制作時間が無かった。
それ以外の平日などの時間帯は材料の加工時間となっている。
品種改良は非常に頭を使わなければならないため、1度家に帰った後で熱を出すことになってしまった。
それでも日々品種改良は進んでいる。
リンゴを元にした種が1度毒リンゴになってしまった時は乾いた笑いが起きたが、品種改良は進んでいるのだ!
そうして気が付けば、俊たちは3年生になる間近となっていた。
見直した結果、若干ダイジャスト化しました。
次回、学生の仕事は?




