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逆転生した魔術師にリアルは屈しました 【凍結】  作者: 影薄燕
第3章 結成! マギア・クインテット!
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第42話 俊の目的と黒い煙


「……そっか。そっか。そっか!」


 4人の目的と覚悟を聞き、それまでの真剣な雰囲気から一転して、見た目の年相応な笑顔になる俊。


「……オメエって、そんな顔できたんだな」

「激レア」


 俊だって普通に笑うことはできる。

 双子の話題になればデレデレした笑顔に。どう反応していいのか分からない時は苦笑いに。みんなに合わせた笑顔に。


 しかし、それは子供の笑顔というよりは大人の笑顔に近い。

 当たり前だ。

 例え見た目が子供であろうと、周りに合わせていようとも、精神が大人ならどうしたって違いが出てくる。


 俊の笑顔は大人びた笑顔だ。それは異なる世界での様々な経験や精神の成長具合からきている。これは本人の性格以外の要因だ。

 対して子供は俊のような経験など無い。普通の生活をしていれば、心で思った通りの感情が顔に出るものである。



 すぐ近くに無口無表情な例外がいるが……



 そうすると笑顔にも違いが出てくる。

 それは俊とよく接する人が、俊を見た目以上に大人びて感じてしまう原因の1つでもある。


 そんな俊が、今まで見たこと無いほど“子供らしい”笑顔になっているのだ。

確かに激レアである。


「ふふふ、酷いなー。まあ自覚あるけど」


 嬉しいから仕方ないよ、と締めくくる俊。


「じゃ、次は俊」

「ん?」

「私たちの目的と覚悟聞いたら、自分も話すって言った。私たちは話した。だから……教えて」

「そうね。地味に恥ずかしいのにがんばって言ったんだから、アンタもきちんといいなさいよ」

「かんねんせい~」

「実際メチャクチャ気になってんだよなー俊の目的って。……マジメな話よ、オメエが1年も悩み続けてんだから相当な事だろ?」


 さあ、さあ、さあ!! と迫られる俊。

 本当なら「いや、話すつもりだよ? つもりだけど……じりじりと近づくのやめんか!」と言いたいが、4人が逃げ場を無くすようにじ~りじ~り近づいてくるのがちょっと怖かった。思わず後ずさりしてしまう程に!


 1歩。また1歩と後ろに下がっていき……柵にぶつかった。


「何でこんな所に柵があるんだよ!」


 今更だ。どう考えても八つ当たりである。

 そもそも、いつも柵のすぐ近くにいるのは俊だ。


「「「「とっとと話せ!」」」」

「オマエらはとっとと離れろやあああああああああああ!」


 気付いたらいつもの光景。

 俊たち仲良し5人組の復活だ。




「それじゃ詳しく話をするから、変に威圧してくるなよ?」


 ひと段落つき、ついに俊は自分の目的を語り出す。


「オレの目的、それは……黒い煙が起こすだろうナニカ・・・が本格化する前に、世間に魔術の存在を認識させて将来動きやすくすることだ」

「「「「!?」」」」


 世間に魔術の存在を認識させる。

 それは誰も予想できないことだった。

 いや、ヒーロー活動をするなら魔術を使う関係上噂されたりするのだろうし、椿の目的とも似通っている。


 だが、今の俊の言い方では積極的に魔術という存在を可能な限り広く、早く本当にあるものだと人々に意識させると言うのだ。


 そして黒い煙。

 これに反応したのは大悟と菜々美の2人だ。

 それは、河童を倒した際に出て来たものを指しているのではないか?


 疑問顔の4人の中で先に切り出したのは音子。


「黒い煙って何? それが起こす何かって? 将来動きやすくするって……一体、何を知っている? 何が起ころうとしている?」


 不安そうに尋ねる音子。

 自分でも俊に質問しながら思ったのだ。もしかしたら、事はかなりスケールが大きく危険ではないかと。


「順番に話すよ。まず黒い煙についてだが、簡単に言えば“敵”だな。それも目的が不明なのに全世界単位で迷惑をかけまくる」

「敵……」

「敵~?」

「ああ。河童に憑りついて狂暴化させ、オレ・大悟・菜々美を襲ったのもコイツだ。ゴミの化け物の核として音子や椿を襲ったのもな」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! それって……」

「2年前にオレらを襲った河童に憑りついてたっていうやつと、1年前に音子と椿を襲ったゴミの化け物が同じ存在ってことか?」

「あれ? でも~、河童さんから黒いモヤモヤが出てきた時、俊くん斬ってたよね~? 生きてたの~? キュウリだからダメだった~?」


 俊が狂暴化した河童との戦いに勝利した後、河童から黒い煙が出て来た瞬間、魔術によって強化されたキュウリにより消滅したのをあの場にいた大悟と菜々美は確かに見たのだ。

 普通の武器ではなかったから倒せなかったのだろうか?

 生き延びた黒い煙がゴミの化け物の核となったのだろうか?

 だとしたら……まだ黒い煙は消滅していないのか?


「いや、河童に憑りついてたやつも、ゴミの化け物の核になってたやつも、確かに倒したよ。ただ……同じ“敵”の別個体だっただけ」

「……はあ!?」

「それじゃ何? あんなのがまだ他にもいるって言うの!?」


 冗談ではない。

 生き物に憑りついて狂暴化させたり、無機物を取り込んで化け物になるようなのがまだ他にもいるなど……

 しかし、俊はそこに爆弾を投げ込む。


「先に言っておくけど、数体とかのレベルじゃないぞ? 数十体、下手すりゃ数百数千の単位でいる可能性だってあるからな」

「桁が違う~!?」


 さらに追い打ちをかける。


「ちなみに、さっきから話題になっている狂暴化した河童とゴミの化け物、奴ら全体の中で言えば1番弱いから」

「「「うぼぉ……」」」


 大悟・菜々美・椿のライフポイントが危険域に!


「……本題。俊は何でそんなに知ってるの?」


 4人の中で何とか冷静でいられた音子。

 音子からすれば俊は黒い煙について異常に知っている。憶測など無くほぼ断言だ。ならば、なぜそこまで知っているのか? という話になる。


「簡単なことだよ。……奴らは、前世の世界にも居たからな……」



 次回、『UNKNOWNアンノウン


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