挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

ブックマークする場合はログインしてください。
<R15> 15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕 が含まれています。

思考実験室

駆け出し冒険者マールとスライムのリン

作者:鬼影スパナ
 マールは花も恥じらう16歳の乙女で、駆け出しの冒険者である。
 そしてその適正職業(JOB)はテイマーであった。

 今、彼女は唯一の相棒のスライムのリンと共に手紙を届ける依頼を受け、故郷の村を離れて隣町へ向かっていた。
 隣町へは、徒歩で5日の距離である。道中に危険なモンスターが出ることも無く、治安も悪くないので盗賊も滅多に居ない。平和な道中だ。

 だがその4日目、マールはとんでもない危機に瀕していた。

「……うう。リンちゃん……」
「なんですか、ますたー?」
「……限界なの、助けて! お風呂入りたい!!」

 そう、かれこれ4日間、お風呂に入れなかったのだ。
 平和な道中ではあるが、水場が無い。そのおかげでモンスターや盗賊が極端に少ないという事もあるのだが、それはつまり無駄にできる水が無いという事でもある。
 特にマールは女の子で体力もない。荷物は極限まで減らしていた。

 当然、体を綺麗にする水を持つ余裕も無かった。
 これがベテラン冒険者なら水魔法を習得しておくなどいう事もあったのだろうが、生憎マールたちは駆け出し。需要の高い水魔法を習得できるほどの稼ぎがまだ無かった。

 そんな彼女だが、この4日間歩き詰めでやっと隣町が見えたところでふと気付いた。

「……私、すごく汗臭い! あと体痒い! こんなんじゃ町で笑われちゃう! 乙女のピンチよ!」

 冒険者をしていても女の子であることは大事にしたいマールについて、それは死活問題であった。
 ちなみに村では水が豊富に使えることもあり、マールは毎日お風呂に入っていた。

「……じゃあ、わたしに入りますかー?」

 ぷるん、とスライムのしっとりした身体を震わせ、リンが言う。
 ――スライム浴。話には聞いた事があった。スライムをお風呂の代わりにするというやつだ。

「……でも、そんなのリンをまるで道具のように使うみたいで、悪いわよ」
「わたしがますたーをたすけるには、それしかないです。わたしは、ますたーのためなら、やれます!」
「うぅ……」
「それとも、きたないからだで、まちにいきますか?」

 マールは、リンの好意に甘えることにした。

  *

 林の中に入り、汗と垢に汚れた服を脱ぐ。
 野外で服を脱ぐのは川での水浴びで慣れてるが、水場でもない、道から少し離れた程度のこんなところで服を脱ぐのは少し恥ずかしい。

「ふくも、きれいにしますね」
「ごめんねリンちゃん、町についたらきれいなお水をいっぱい飲ませてあげるから」
「はい! あと、おにくもたべたいです」
「うん、報酬でオーク肉の脂身買ってあげるね!」
「わーい!」

 もぐもぐ、と服を取り込むリン。スライムは色々と便利なことに、衣類の汚れを食べることもできる。
 生きた洗剤とも言えるが、テイマーの絶対数が少なく、かつ心通わせたモンスターにそんなことをさせる主人は滅多にいない。
 雑食のスライムとはいえ、人間に当てはめれば残飯や生ゴミをご飯として与えるようなものなのだから。

 しかしマールの役に立てるということもあり、リンは上機嫌で衣服をその体内に収めた。

「さ、つぎはますたーです」
「う、うん」

 そっと足を踏み出し、体を広げたリンに横から入浴(はい)る。
 湯船を必要としないのも、スライム浴の特徴であった。
 つぷん、と粘性のある液体に浸ると、ひんやりとした中に、まるで木の椅子のような生命の温かさを感じた。

「おぉぅ、ちょっと冷たくもあり、どこか温かい……不思議な感覚」
「えへへ、ますたーのろーはいぶつ、おいしーです」
「ひょわっ! ちょ、くすぐったいってばリンちゃんっ」
「でも、ますたーのろーはいぶつ、こびりついてますからー」

 ぶるぶると微振動するリン。そして確かに、体中の垢が落ちていく感覚があった。
 リンには悪いけど、気持ちいいなとマールは思った。

「あ、うう……。なんかゴメンね汚くて」
「いえいえ、ますたーのなら、ごちそうですからー」
「……なんかレベル高いね、スライムって……」

 ※この場合のレベルはステータスの強さを表すレベルではなく、性癖の話です。

「そ、その。リンちゃんのことは信じてるけど、私の事まで溶かさないでね?」
「ろうはいぶつだけですよー。ふくも、すっごくきれいにしますから」
「うわースライム超便利。リンちゃん大好き超愛してる」
「わたしもますたーのこと大好きですー」

 リンは少し照れたように震えてた。

「あっ」
「……ん? どうしたのリンちゃん」
「ぱんつ……よごれだけとかすつもりが、うっかり全部とかしちゃいました」
「うぉおおい!?」

 見るとリンの中に浮いていた下着が消えていた。どこにもなかった。

「ちょ、私は大丈夫なんだよね? よごれだけのつもりが骨までとかないよね!?」
「だ、だいじょぶです、ていねいに、しゃぶってますから! ぱんつは、おいしかったのでつい!」
「発言だけ聞いてるとド変態だぞリンちゃん!」
「おおむねあってます」
「合ってんの!? 私大丈夫なの!? (性的に)食べられたりしない!?」
「ますたーのことだいすきなので、ごういなしではしません!」

 合意があればすんのか。

「どうしよう、信頼していたパートナーが性的な目で私を見ていたこの気持ち。そして今そのパートナーに全裸で身を飲み込まれている現状はもはやそういうプレイなのではなかろうか」
「……くつしたも、たべていいですか? たまりません」
「ダメー! パンツも換えがないけど靴下は足痛くなるから、マジ死活問題だから!」
「ちぇー。はい、きれいになりましたよ、ますたー」

 ぺぺっと服が吐きだされて木の枝にかかる。洗濯直後のように、ばっちり綺麗になっていた――パンツは無くなっていたが。

「ところで、今更なことを聞いていいかなリンちゃん」
「なんですか、ますたー?」
「……リンちゃんって、その。……メス、でいいんだよね?」
「はい! めすですよ!」

 ほっと一息つくマール。よかった、もしこれがオスだったらお嫁に行けなくなるところだったかもしれない。

「わたしは、おんなのこがだいすきです」
「友人として! 友人としてだよね!? ってか何で今それ言ったの、言わなくてよかったよね!?」
「えっと、ますたーがふあんそうにしてたので……?」
「ごめん、余計不安になっちゃうからその一言……!」

 その後リンのおかげでなんとか体を綺麗にしたマールは、服が乾くのを待ってから無事に綺麗な体で町に到着することができたそうな。
 ただしノーパンであったので、報酬はまず下着を買うことに使ったそうな。

(尚、帰りも5日間徒歩の模様)

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
感想を書く場合はログインしてください。
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ