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詩集「くらしいの歌」

屋上のかぐや姫

作者: くらきしい

錆びたフェンスに触れる

いつの時代も檻から出られない


視界を飛び回る塵は消えない

これが普通かもわからないまま


喉につっかえたゴミも取れない

これが普通だという自信もなくて


空はほとんど灰色

部屋は埃が舞っていて

胸が苦しいのも

気のせいで済ませて笑っている


昨日眠れなかったのも、夢の話

頭が痛いのも、鎮痛薬でわからない


疲れた、という

叫びが世間にあふれていても

誰かが変えようと足掻いても



もう、私は戻って来ないよ



夜風の冷たさが「命」を実感させる

麗しい姿で

あの満月からの使者を待っている


何もかもが変わってしまった

会いたい人も

世界も

私自身も


誰も私を欲してはいない

いらない子


それでも私を迎えに来るのか

見送り一つない静かな夜だ


帰りたかった

遥か昔の御伽噺は思い出として

ビルの屋上から旅立つ


もう、私は戻ってこないよ


さようなら

我が故郷









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