8話
イーツ殿下に部屋まで送ってもらった後、私は1人で外の景色を見ていた
イーツ殿下と結婚…か?
他人事みたい…
何もかも急ずぎて感情がついていかない、そんなこと考えちゃいけないのに
「琴菜?」
気分転換がしたくてリィナさんに断って1人で散歩していると、目の前に噴水があったので覗いていたらいきなり後ろから声をかけられてびっくりして噴水に落ちそうになってしまった
「キャア、びっくりした」
「ごめん琴菜、大丈夫?」
「…アンリ殿下大丈夫です、どうかされましたか?」
「聞いたんだが琴菜、本当に結婚するのか?」
「アンリ殿下、本当ですよ」
「どうして何も無かったんだろ」
「確かに何もありませんでしたが、真実がどうであれイーツ殿下と一緒に過ごしたという事実がありますし、このまま何もなかったとはできませんので」
「それにしたって」
「アンリ殿下のお言葉は嬉しく思いますが、もうすでに事は動いてしまってますので」
「琴菜、俺は」
「アンリ殿下、申し訳ありませんが帰国の準備をしないといけませんので失礼します」
私はそれ以上の言葉をさえぎってアンリ殿下にお辞儀をし、その場を離れた
「くそっ、こんなに早く手を打ってくるとは、だけど俺は諦めない」
アンリ殿下は私が部屋に入るまで、ずっと見ていた
あわただしく帰国の準備をする中、合間をぬって午後からイーツ殿下と共に暮らす予定の部屋を見学する
「まだ、これから内装をする予定なのですが、なにかご希望はございますか?」
「希望?」
「はい、琴菜様のご希望です」
イーツ殿下の顔をチラッと見たが笑顔で私の好きにしていいよって顔をして見てる
入ってみると部屋は入り口から入って左右対称に別れている、真ん中は小さな噴水があるエントランスになっている
私の部屋になる予定の部屋を覗く、いろいろな部屋があってすごいなと思いながらもふとあれがあればいいなと思い口にする
「あの、出来ればミニキッチンがあったら嬉しいのですが・・・」
「ミニキッチンですか?」
「はい、お菓子作ったりするのが好きなのでオーブンや小さめな冷蔵庫もあると嬉しいです」
「はい、かしこまりました」
私のわがままにニコニコと了承してくれた
イーツ殿下や皆がここまで優しくしてくれるなら
きっと頑張っていけるよね?
きっと・・・・・