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桜色の約束  作者: なのの
1章
6/20

5話

お気に入り登録ありがとうございました


なのの




春にはまだ程遠い早朝、

少しずつ朝の光が王宮を照らしていく、夜を過ごした寝室にも光が射し込んでくる



眠る彼女を僕は静かに見ていた、手を伸ばしそっと頬に触れてみる

 

指先から伝わる確かな体温、柔らかな黒髪そして白い肌


乱暴に扱えば壊れてしまうそうなそんな印象を醸し出す


「本当はこんなことしたくなかった…」




今更後悔しても遅い、時間は戻らないし、いつまでもこうしてはいられない


琴菜の耳元にそっと囁く


「おはよう琴菜、そろそろ起きないと……ね」


そっと琴菜を抱き寄せながら、回した腕に力を込めて再度囁く


「聞こえてる琴菜、朝だよ」


「う…ん」


一瞬、目に皺をよせて体を動かしたがそれに合わせて揺れる胸元が、酷く心許無い存在に見えて僕の理性を試しているかの様だ


目覚めのキスとばかりに琴菜の額にキスを1つ落す




まどろみの中で感じる、穏やかに波打つ音が耳に届く、頬を撫でる感触と額に感じる心地よい温もり


「……もう少しだけ寝かせて」


掛布を胸元に寄せ丸くなる、でもすぐに背中を擦る優しい温もり


包み込む温かさに髪の毛を梳く優しい指はどこか懐かしい


「もう、ちょっと寝た…い」


「そうしてあげたいのはやまやまなんだけど…ね」


また感じる頬の温もり、抱きしめられる心地よい温もり


少しずつ意識が浮上していくと同時に感じる疑問、耳に届いたこの声は・・・誰?



「まさか」と言う思いで私は目を開け、瞬きを繰り返す、そして目の前にいる人の顔を認識する


「イーツ…殿下?どう…して?」


「おはよう、琴菜」



驚きと戸惑いに溢れた目、目線の先にいるのは紛れもなくこの国の皇太子



「ま、まさか……私?」


胸元を抑え、驚きで飛び起きた


2人とも服を着て寝てた事実が何もなかった証


「………うっ」


「初な反応が嬉しいけど、護衛達は僕がここにいることは知っているし」


イーツ殿下の言葉といろいろな感情が混ざり会う



こんなことをしてまでイーツ殿下は私と……


でもこれは自分で招いた過ち、もうどうすることも出来ない、運命は動き出している


「なぜ……なぜ、ここまでするのですか?こうまでして私の気持ちを無視するのですか?」


イーツ殿下に抱きしめながら私は泣き崩れてしまった 


イーツ殿下の言う通り、もうすでに王宮内に知れ渡っていることだろう、イーツ殿下と同じ部屋で一夜を過ごしたという事実が


「僕は、君を愛している」


「だったら何故?こんなことを」


より強く抱きしめられる、心地よいと感じながらも

どこか素直になれない



抵抗する気力はもうない、耳元で囁かれた彼の意思



「琴菜が心配することは何もない、全部僕が1人でやったことだ、責めは僕が

受ける。だから、黙って側に居て欲しい」


謝罪にも似た、イーツ殿下の言葉



悲しみに沈んでいく心、

絶望に似た私の感情


私の心を望むと言うならもっと別にあった筈


なぜ、ここまで私の気持ちを無視してまで望まれるのですか? 



………イーツ殿下



………何故








なるべく早めに更新できるよう頑張ります



なのの

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