14話
―コンコン
「どうぞ」
「失礼します殿下、皇太子様と琴菜様が無事に到着されたと報告がありました」
「・・・そう」
報告した部下を下がらせ、窓から皇太子宮を見ていたがその顔は笑っていた
「僕は諦めないよ…琴菜」
「あの、殿下離れて貰えませんか?」
「……」
「殿下?」
「………」
「……イーツ殿下?」
「…………」
「……イーツ」
「何だい?琴菜」
「………いえ」
にっこりと微笑むイーツ殿下を見て私は何も言えなくなってしまった
その後、リィナ達がお茶の準備をして戻ってきたのでイーツ殿下とお茶を飲んだ後は部屋の片付けをして過ごした
イーツ殿下はお茶を飲んだ後、執務に戻っていった
片付けが一段落した私は同じく執務を終えたイーツ殿下と共に夕飯を食べた
ご飯を食べて食後のお茶を飲んだ後、イーツ殿下は執務に戻って私はお風呂の準備が出来たらしいのでお風呂に入って疲れをとった
お風呂から出るとリィナが冷たい飲み物を用意してくれた
「琴菜様、冷たいお飲み物をどうぞ」
「ありがとう、リィナ」
飲んだジュースは火照った体にちょうどいい冷たさだった
「琴菜様、明日もお早いですのでお早めにお休み下さいませ」
「はい、わかりました」
「それでは、失礼致します」
「お休みなさい」
ドアを閉めて出ていくリィナ達を見送り、自分も寝ようとベットへ向かおうとした時、部屋をノックする音に気付く
「はい」
誰だろうと思いながらも自分の格好を思い出しそばにあったストールを羽織りドアを開けるとアンリ殿下がたっていた
「アンリ…殿下」
「やぁ、琴菜…久しぶりだね」
「お久しぶりです、アンリ殿下」
こんな時間になんだろうと思いながらもアンリ殿下に挨拶をした
「明日でもよかったんだけど、琴菜に会いたくてね」
「えっ?」
いきなりアンリ殿下に抱きしめられ頬にキスをされた
「!!」
「じゃあね、お休み」
私は何が起きたかわからず、ただ呆然としながらドアを閉め、ドアに背を預けもたれ掛かりながらその場に座ってしまった
「……つ」
でも私は知らなかった、気付かなかった、イーツ殿下に見られていたことを……
アンリ殿下はイーツ殿下が見ているのを知った上でこのことをしたことを………
そして、いつの間にか寝てしまった私をイーツ殿下がベットに運んでくれたことを…