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第九話◇
「…っ助けて!!」
叫んでも誰も来てくれない事を分かっていても目を瞑って叫ぶしか無かった。
剣で斬られたらすごく痛いんだろうな…。
でもいつまでたっても痛みはやってこない。
「…?」
恐る恐る目を開けると…
「…龍?」
「グルルルル…」
赤い鱗に覆われた大きな龍がいた。
その龍は二本の後ろ足で立っていて背中には大きな羽があった。
龍はカカシから私を庇う様にカカシと私の間に割って入って立っていた。
赤い瞳が私を見つめる。
「…火音?」
口から自然にこぼれた名前。
言った後から困惑する。
なんで火音?
でも直感的ってこういう事…?
「キキキキ!リュウ…!!」
カカシ達は龍に向かって飛びかかる。
「ガアアア!!」
けど龍はしっぽでカカシ達を凪ぎ払う。
「ギギギギー!!」
いくら凪ぎ払ってもカカシは起き上がってくる。
時間の無駄と思ったのか龍は私の方を見る。
『乗れ』
また頭の中に響く様に聞こえた声。
さっき止まれって言ったのもこの龍だったんだ…。
この龍は敵じゃない。
私は龍の背中に飛び乗った。