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第七十九話◇
いつだって、別れは突然だ。
「…え?」
朝起きて、突然カノンに知らされた事実。
「お前には、今日で元の世界に帰ってもらう。」
カノンの眼は真剣そのもので、冗談なんかじゃない事が分かる。
「…ちょっと待ってよ。なんでそんな急に…。」
「…異世界に続く門が、今日の昼に閉まるんだ。」
門?
「その門が閉まったら、お前はもう元の世界に戻れない。」
戻れない…?
「もう、俺やアスカ…他のみんなにも…会えないんだ。」
「…ッやだ!帰りたくなんかないよ!戻れなくても良い!!私、みんなと一緒にいたい!!」
「消えちまうんだぞ!!?」
突然怒鳴れ、肩が揺れる。
「…え?」
消える?私が…?
「…これ以上…お前がここにいると…お前自身が消えちまうんだ…。」
カノンの声が震えている。
肩を持たれる。
「頼むから…ッ!」
その後は言われなくてもわかった。
私は、呆然と受け入れる事しか出来なかった。






