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幼なじみは龍でした  作者: 犬丸
別世界編
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第七十八話◇

「お前らァァァァァァァァァァァ!!!」


「どうしたのカノン!うっさい!!」


客室に入った瞬間聞こえた怒声。


部屋の中には眼を逆三角形に吊り上げているカノンとニヤニヤ笑っているヴォルトとジルク。


ヴォルトの傍ではガイクが鼻で笑っていた。


何気にガイクが酷いことは置いておこっと。


戦争が終わって3日経った。


王であるバルドがいなくなったデルトは今、ドラグレイドの王のカノンがまとめている。


デルトは恐怖政治でまとめられていた様で抵抗は無かった様だけど…。


戦争の被害はドラグレイドもデルトもガルムも大きかった。


死者は何人も出たし…。


カノン達や私も怪我をした。


現にここにいる全員の身体には包帯やらガーゼ等、手当てが施されている。


まあ、私の知っている面子はとりあえず全員生きている。


「なんつーか…カノン…お前って弄られキャラだよな。」


「うっせーバーカ!!」


ヴォルトにプフーと笑われながらカノンが叫ぶ。


ああ。また弄られたんだ。


「ヒナタお姉ちゃん!!」


「のわっ!?」


言い合うカノンとヴォルトを見ているとアスカがお腹に突撃してきた。


そこ!!女っぽくないとか言わない!!


「あれー?アスカここに来ていいの?」


前は駄目って言われてたのに。


「カノン様が良いって言ったの!」


「俺に感謝しろ!!」


あらま。どういう風の吹き回しかな?


なら最初から良いって言ってくれればよかったのに。


「ヒナタお姉ちゃん、お城の探検しよー!?」


「はいはい。行こうか。」


手を引くアスカと一緒に部屋から出る。


ドアを閉める瞬間、カノンが寂しそうな眼をしていたのは気のせいかな…?




アスカがヒナタを連れて、部屋を出た。


「……。」


「カノン。」


「分かってる。」


呼びかけられて振り向くと全員さっきとは全く違う真剣な顔をしていた。


「カノン様、時間がもうありません。」


ジルクに言われる。


そんな事は分かっている。


ヒナタは、もう長くはこの世界にいられない。


もともとヒナタはこの世界の住人じゃない。


ヒナタの世界には、この世界のように強い魔力なんてものは無く、この世界の強い魔力に身体が合わないらしい。


ヒナタ自身の身体には強い魔力があるがそれももう少しで消える。


これ以上、ヒナタがこの世界にいれば、ヒナタが消滅する。


今までのように俺がヒナタの世界に通えばまたヒナタとも会えるが、それは出来ない。


そもそもヒナタの世界に続く門を開いたのは俺の親父だ。


その門が開く期限があと一日で終わる。


門を再び開かせるには膨大な魔力が必要になる。


俺は親父のように膨大な魔力は持っていない。


いや、この世界の住人で門を開くほどの魔力の持ち主は誰もいないんだ。


このままヒナタがこの世界のいればヒナタは消滅する。


だからと言ってヒナタを元の世界に返せばもう二度と会えない。


「カノン…どうするんだ?」


そんなの…決まってる。


「…明日の正午。ヒナタを元に戻す。」


消滅なんてさせねえ。


アイツにはアイツの世界がある。


親だっている。


もう、俺の我儘には付き合わせれない。


「よろしいんですか?」


「…ああ。」


もう、会えないかもしれないけれど、アイツだってそれを望んでいるハズだ。





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