第七十六話◇
「「ガアアアアアアアアアアアアアア!!」」
二匹の雄叫びが再び響く。
カノンがミズキに噛み付けば、ミズキがカノンを尻尾で叩き落す。
地面に落ちる寸前で体制を立て直したカノンがまた、ミズキに向かっていく。
そして真っ赤な炎を吐き出す。
それを見たミズキは真っ青な炎を吐く。
赤と青の炎がぶつかり合う。
けど…
「あ…!」
青い炎が赤い炎を多い尽くす様に、圧していく。
空中でじりじりと炎に圧され、後退していくカノン。
「…ッカノン!!」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
青い炎に飲み込まれ、悲痛な声をあげるカノン。
そのままバランスを崩し、まっ逆さまに落ちていく。
「きゃあああああっ!!」
「キャンッ!!」
カノンが私達の近くに落ちた為、私達も吹き飛ばされる。
瓦礫がバラバラと身体の上に落ちてくる。痛い。
「…っう…」
なんとか上半身を起こすと見慣れた赤い髪。
「カノン!!」
ボロボロのカノンが半ば瓦礫に埋まる様に倒れていた。
身体のあちこちに火傷の傷があるし、赤いコートは所々破けてしまっている。
空からは青い龍。
このままじゃ…カノンが殺される。
そんなの嫌!!
そんな事…
「させない…!!」
私は…無我夢中で弓を構え、矢を放った。