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第六十三話◇
城の中を走り続けると闘技場の様な広間に出た。
「カノン様!来ます!!」
ジルクの声に前を見ると数人の敵兵。
「チッ!!」
まだ居んのかよ!!
「退けよ!!」
剣から炎を放つ。
タイミング良くジルクが風を吹かせる。
炎が風にのって敵兵を包む。
けど…
「オオオオオ!!」
一人の鎧を着た兵士が炎の中を突っ切って突撃してくる。
「なっ…!?」
マジかよ…っ!?
反応が遅れた俺に刃が迫る。
けれど俺の前に躍り出る影。
キィン!という鋭い金属音。
ジルクが剣を受け止めていた。
「ジルク!」
「油断大敵ですよ…カノン様…!」
けどギギギ…と力でジルクが押される。
「くっ…!」
「らァっ!!」
ジルクがやられるのを見逃す訳にはいかない。
ジルクの横に出て相手に向かって剣を降り下ろす。
だが相手が下がり、俺の剣は宙を切る。
こいつ1人でもめんどくせぇのにこちらに向かってくる足音。
「苦戦していますね。カノン様。ジルク。」
俺達が来た扉の反対側の扉から現れる人物。
そいつは…
「バルド…!!」
「お久しぶりです。我が主。」
俺の家族を殺した張本人だった。