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幼なじみは龍でした  作者: 犬丸
別世界編
58/81

第五十八話◇

一ヶ月は早かった。


あっと言う間にその日はやって来た。


ホントは来てほしくなかった。


まだ決心してないのに…。


「……。」


ガルムの兵もドラグレイドに全員着いている。


後はカノンの号令だけらしい。


「ヒナタ様…」


「ジルク…」


外に行こうと廊下を歩いていた私に戦闘服の黒いコートを身に着けたジルクが近づく。


「なんか…もう分かんないや…」


「カノンがバルドを殺すって言った時店辛そうな顔してた…。…バルドとカノンは仲良かったの?」


「…ええ。良いなんてほどではなく…。」


「そっか…。」


なら…やっぱり…


知らない間に弓を握り締めていた。


「間違ってるよ…カノン。」


「何やってんだ?ヒナタ、ジルク。」


後ろから聞こえる声。


カノンだ。


赤いコートが赤い髪と似合う。


「カノン…私考えた…。」


けど…


「けどやっぱりこの道しか無いの?」


「…今さら…何言ってんだ?」


カノンが少し怒った口調で言った。


「でもやっぱり間違って…」


「お前は!!」


私の声を遮る怒声。


「…あれを見てないから…。」


カノンが俯いて言った。


…『あれ』?


「ヒナタ…お前を連れてきたのはこっちだ…けど」


「やっぱりお前は…城に残ってろ。」


「え…?」


「元々無理やり連れてきたに近いんだ。」


待ってよ…。


「戦争に参加させるなんて俺達の我儘だ…。」


カノン…


「悪い…。」


なんで…


「ジルク!行くぞ!!」


「待って!カノン!!」


「カノン様!!」


叫んでも…届かない。


カノンは私とジルクを置いて行ってしまった。


「…なんで」


なんで…今更…


「申し訳ありません…ヒナタ様…。」


「カノン様はご家族を目の前でバルドに殺されたのです…。」


そうだった…


なら…私は…


「酷いこと…言った…。」


「…カノン様ならお気になりませんよ。」


「行って参ります。」


一礼してジルクもカノンの後を追った。


私は…


ただただ立ちすくむ事しか出来なかった。



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