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第五十四話◇
「奴らを潰す。」
「異論は認めない。」
カノンが続けて言うと誰もが黙る。
「いいね。」
ポンッと椅子の肘掛を叩いたのはヴォルト。
「その言葉を待ってたぜ。」
ニカッと笑って言った。
「ドラグレイドだけじゃデルトには敵わない。ガルムも参戦する。」
何回かまばたきをするカノン。
「いいのか?」
「当たり前だろ。デルトの兵は二百三十万。組んだほうがまだ勝機がある。」
「だろ?ガイク。」
「はっ。」
ヴォルトがガイクの言葉に満足そうに笑う。
というか二百三十万って…もう想像できないな…。
「ウチの兵を呼ぶとしたら何日かかるんだ…?」
「待つとしても一ヶ月半…それ以上は無理だ。」
上からヴォルト、カノンの順番。
「いかがなさいますか?」
うーんと唸っていたカノンが顔を上げる。
「決めた。」
「「「?」」」
私を含めこの場の全員がカノンの言葉に耳を傾ける。
「本日より一ヵ月後。ドラグレイド・ガルム両軍はデルトに攻撃を開始する。」
「戦争だ。」
カノンが言い放った。