第五十三話◇
場所は変わってまたカノンのお城。
最初私が案内された部屋にみんなで入る。
客室みたいなものなのかな…?
そして相変わらずフカフカなソファーに座る。
「で?ヴォルト、お前が来たって事はなんかあったんだろ?」
カノンがヴォルトに問う。
「…ああ。デルトの連中が動き出した。」
「!」
『デルト』という言葉に目が険しくなるカノン。
「…なにかやらかしたのですか?」
カノンを尻目にジルクが言う。
「…この間」
「この国で数人行方不明になっただろ?」
…行方不明?
「ああ。確かに、男3人と女2人行方不明だ。」
「は~…やっぱりか…。」
カノンが言うとヴォルトがはぁ…とため息を吐く。
「ガルムでも何人か行方不明になってんだよ。しかも目撃者によると…」
「服にデルトの紋章が描かれていた…そうだ。」
「…決まりだな。」
カノンの少し怒りがこもった声。
「ど~するよ。カノン。」
「ここは様子を見るべきでは…。」
「貴方様の決断1つです。」
上からヴォルト、ジルク、ガイクの順番。
「…奴らは俺達が動かないから油断している。」
カノンが静かに呟く。
「もう我慢の限界だ。」
髪の毛から覗く怒った様な赤い瞳。
「奴らを潰す。」
その眼が…少しだけ怖かった。