第五十一話◇
ージルクsideー
何時も人が多い商店街。
そんな中人々の話声が聞こえる。
「おい見ろよ。ジルク様だ。」
「ホントだ…なにかあったのかな?」
…自分の話題らしい。
というか…ヒナタ様…また迷子ですか…。
はぁ…と自分の口からため息が出る。
確かにここは人が多く迷いやすいですが…。
異世界の方は方向オンチなのでしょうか?
カノン様達と手分けして捜し始めて30分。
まだ見つからないとは…。
置いていってしまった我々も悪いんですがね…。
「…ん?」
人混みの中見慣れた赤い髪が覗く。
思った通り、赤い髪の持ち主は自分の主人で。
その主人の目線は仲が良さそうな金髪の少年と黒髪の少女に釘付け。
……お若いですね~…。
「嫉妬…ですか?カノン様。」
「うおあっ!?」
声をかけるとビクッと肩を揺らす主人。
だが次の瞬間には真っ赤になって今私が言った事を否定する。
「そ、そんなんじゃねーし!!」
「カノン様お若ーい。」
「うっせぇ!!」
クスッと笑いながらからかうと怒鳴る我が主人。
「ったく!早くヒナタとヴォルト連れて城に行くぞ!!」
「御意。」
さて…想いは実るのでしょうかね…?
まあ、本人自身まだ気付いていないでしょうね。
嗚呼、おもしろい。