第四十九話◇
「うっし!じゃあみんな帰っていいぞー!!」
ヴォルトの言葉にぞろぞろと撤退するガルム軍。
「大丈夫なのかよ…あれ…。」
引きつった顔で言うカノン。
「おー。よく出来た奴らでさ、指示だけすれば俺がいなくても国に帰れるんだよ。」
「すげーなぁー。」
カノンが感嘆の眼で去っていくガルムの兵を見ていると、明らかに落ち込んだ顔をしているドラグレイドの兵。
カノン…!気付いてあげて!!
「ってわー!嘘!ごめん!ウチの兵もあんだけできれば俺が楽できるとか思ってねえから!!」
早口で言い訳をするカノン。
ってか最早言い訳じゃないよね。
ほら!さらに落ち込んでる!!
「ヴォルトォ~…」
困り果てた顔でヴォルトに助けを求めるカノン。
「お前もう黙ったら?」
ごもっとも。
「よく言うぜチビのくせに…」
「ああ?良いんだよこれから伸びんだから。」
おもわぬカウンターを喰らったヴォルトは青筋をたてながら言う。
「お二人とも、お城に行きましょう。」
ナイス!ジルク!!
私もカノン達の所に行こう。
………そう思ったのに。
「はぐれたああああああああああ!!」
なんなのよ…。嫌がらせ?
門に入っていくカノン達を見たんだけど、例の人が多すぎる商店街ではぐれた…。
「はぁ…もうヤダ…。」
あはは…今私完璧自暴自棄って奴だ…。
「なぁ。そこのアンタ弓使いか?」
「いちおーそうですよー。なんですかー?」
誰かに話しかけられたけど顔も見ないで言っちゃた。まあいいよね。
「名前は?」
「もううるさいな…。ヒナタ!ヒナタだよ!」
少しムッとして吐き捨てる様に言ってその人の顔を見た私は青ざめる。
「お!じゃあやっぱアンタか!当たり♪」
笑ったのはガルムの国王…ヴォルトだった。