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第四十八話◇
「…申し訳ありません。ヴォルト様…。」
スッ…とカノンの首筋から剣が退く。
「ドラグレイド、ガルムの両軍に告ぐ!!今回の模擬戦はドラグレイドの勝利とする!!!」
『オオオオオオ!!!』
ジルクが叫ぶと共にドラグレイドの兵から雄叫びがあがる。
「だあああ!くっそぉぉぉ!!」
ヴォルトが悔しそうに言う。
「チェッ。俺とヴォルトの決着つけたかったのによー。」
「馬鹿言わないで下さい。どちらもボロボロになって終わりますよ。」
ムスッとしながら言うカノンをジルクがたしなめる。
「申し訳ありません。ヴォルト様。」
もう一度ヴォルトに言うガイク。
「しょうがねぇよ。今度は勝ってやるから安心しろ!」
「…まったく、貴方様は…。」
笑って言うヴォルトに苦笑いするガイク。
「そう言えばどんな弓使いなんだ?これ打ったの。」
地面に刺さっていた矢を抜いてカノンに問うヴォルト。
「ん~…」
チラッとこちらを見るカノン。
な…なにか用でしょうか…?
でもすぐに視線を外してヴォルトにニッと笑って言った。
「今まで俺が会った中で一番の弓使いだ!」