第四十六話◇
ーヒナタsideー
やっと砂煙がはれてきた…。
そう思いながらカノン達が闘っていた場所を見つめていると…
だんだん四つの人影が見えてくる。
…何だろう?
よく目をこらすと見覚えのある赤い髪と金の髪。
そしてその後ろには黒い髪と茶色の髪。
完全に砂煙がはれた時私が見た光景は…
カノンがヴォルトの側近に刃を突き立てられていて、ヴォルトがカノンの側近…ジルクに刃を突き立てられていた。
これってかなりヤバいんじゃ…。
「…我が主から手を離して頂こうか。」
ヴォルトの側近…ガイクが言った。
その表情は険しい。
「それは出来ません。私も自分の主が心配ですからね。」
微笑を浮かべながらもジルクが言った。
でもその眼は真剣そのもの。
「…このまま固まっていても仕方がありません。そして貴方は私の主からその手を引く事になる。」
相変わらず表情を崩さずにジルクが言う。
「…?」
ガイクが不審そうにジルクを見る。
そしてその時…
私の方を横目で見たジルクが私に向かってウィンクをしたように見えた。
………。
…これは打てって事でしょうかジルクさん。
うん。もういいや。打とう。
私は持っていた弓を構え…
矢を放った。