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第四十五話◇
ーカノンsideー
くっそ…。砂煙でヴォルトが見えねぇ…。
でもそれはヴォルトも同じはずだ…。
いや…待てよ…?
この状況で後ろを取られたら…。
考えたら冷や汗が背中を伝った。
…どうするよ。
ジャリ…
「!」
地面を踏む音に気づいた瞬間に響く声。
「もらったああああ!!」
後ろには剣を振り上げるヴォルト。
やっべぇ…!
けど…
「負けるかよッ!!」
出来る限りのスピードで剣の突きを放つ。
でもヴォルトに当たる事は無かった。
首筋に刃の冷たい感触。
「なっ…!?」
思わず手を止める。
「…大人しくしててもらえますかね?」
横を見るとヴォルトの側近のガイク。
俺の首筋にはそいつの剣。
「…マジかよ。」
ヴォルトの声。
ていうか俺って斬られてもおかしくない立場のハズなんですけど。
「まったく…やはりこうなっていましたか。」
ヴォルトの首筋には俺と同じ様に剣。
しかもその剣の持ち主は…
「ジルク…邪魔しに来たのかよ…。」
「なに言ってるんですか。あなた結構ピンチだったでしょう。」
俺の側近。
ど~すっかな~…。