第三十四話◇
トイレから出てきた私を呆れた顔でカノンが見てた気がするけど無視で行きたいと思います。
そういえば…
「カノンなんでこんな所にいるの?」
パジャマの私と違って部屋着っぽいし。
「…ちょっとな。」
…言いたくなさそうだね。
「ふ~ん。そう。」
適当に返しておく。
部屋に帰って寝よ。
「ヒナタ…。」
部屋に帰ろうとした私を呼び止めるカノンの声。
「なに?」
「お前は…お前には…」
歯切れ悪そうにカノンが言う。
「俺は今どう見える?」
………。
「どういう事?」
「…龍に変身する化け物か、一国を統べる王か、それとも…」
「人殺しか。」
寂しそうにカノンが言った。
私は何も言わずにカノンに近寄った。
そしておもいっきりカノンの頬を両手で挟んだ。
「うべっ!?」
間抜けな声をあげるカノン。
私より背の高いカノンの顔に触るのはちょっと背伸びしなきゃいけないけどがんばる。
「この口は何言ってるのかなー?」
カノンの口をつまんで伸ばしてみる。
「うぐー!」
「確かに人を殺すのは良いこととは言えない。でも…」
「自分で自分の事化け物とか人殺しなんて言ったらお母さんとかお父さん泣くよー?」
「王とかってただの肩書きじゃん。カノンはカノンでしょー。」
「カノンはカノンのまんまだよ。今も昔も。」
横横縦縦丸書いてチョンしてカノン頬を離す。
「それに…カノンの力は人を殺すものじゃないでしょ?カノンの力は人を護るための力のハズだよ。」
きょとんとした顔のカノン。
「おやすみ。」
そのカノンに手を振って私は部屋に戻った。
…これで良いんだよね。