第三十一話◇
ー???sideー
「カノン!逃げろ!!」
俺と正反対の長くて青い髪が揺れる。
兄貴…なんで剣なんか持ってんだ?
その横で倒れてるのは親父と…お袋…?
兄貴の正面には短い黒髪。
バルド…なんでお前兄貴と戦ってんだ?
「おや、カノン様。お帰りになられていたのですか?」
嫌な予感がしたから帰ってきたら…なんなんだよこれ…。
「失礼。」
目の前にはバルドの顔。
慌てて離れようとしてももう遅い。
「カノン!!」
兄貴の叫び声が聞こえる。
ガッと言う音と共に視界が狭まる。
バルドに頭を掴まれていると分かったのは数秒経ってからだった。
バルドが俺の頭を掴んでいる手に力を入れると突然頭痛が始まった。
物理的なものじゃない。けど凄く痛い。
思わず悲鳴をあげる俺を見ながら笑ってるバルド。
なんで笑ってんだ…?
やめろ…頭が割れる…!!
バルドによって狭まれている視界の端っこに映ったのは青い髪。
「ぐっ…!?」
バルドが呻き声を出す。
何だ…?
狭まっている視界でも見えた。
バルドのわき腹に兄貴の剣が刺さっていた。
「カノンを…離せ!!」
兄貴の怒鳴り声が聞こえる。
バルドは苦しそうに顔を歪めながら自分の剣を振り上げた。
その矛先は兄貴に向けられていて。
…止めろ!止めてくれ!!
このままじゃ…!!
バルドの剣が振り下ろされた。
兄貴の青い髪が…真っ赤に染まった。
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!