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第二十八話◇
ーカノンsideー
「なに言ってんだ俺は…」
やっとヒナタが協力してくれるって言ってんのに…。
こんな屋上にいたって意味ねーよな…。
『よろしいのですか?デルトの国王はあなた様の…』
「…元側近って言いてーのかよ。ジルク。」
もう過ぎた事なのに…。
「忘れらんねーんだよなぁ…。」
ああー…イライラする。
…街にでも行ってくるか。
思い立ったらすぐ行動!!
「さぁーて…行くか。」
「お待ち下さい。」
「ぎゃあああ!?」
背後から…ならジルクか!!
「なーんちゃって♪びっくりした?」
…ジルクかと思ったら違った。
「ヒナタかよ…。」
「『かよ』ってなによ!『かよ』って!!」
てか…。
「お前声マネ出来たんだ…。」
「すごいでしょ。」
そうじゃねぇだろ。
「で?なんの用だよ。」
「ん~?別に。」
「嘘つけ。」
目が聞きたそうにしてんだよ。
お。ヒナタにしては珍しい。ちょっと困ってる。
「…昔話は好きじゃねぇんだけどな。」
「…そう。」
…あー!もう!!そんなしょんぼりしてんじゃねー!!
「…分かったよ。一回しか話さねーかんな。」
良い思い出じゃねーしな…。