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幼なじみは龍でした  作者: 犬丸
別世界編
27/81

第二十七話◇

「説明はこんなもんだな。」


うん。大体分かった。


私が頷くとカノンは続ける。


「これから戦争が始まる。戦争の最中は俺の近くにいてもらう事になる。」


そうだ…。戦争が始まるんだ。


「カノンは…人を殺すの…?」


小さい声だったけどカノンとジルクには聞こえたらしい。


二人共目を見開く。


そしてゆっくりとカノンが言った。


「ああ。」


「なんで…人殺しになりたい訳じゃないでしょ?」




「当たり前だ。…でもな。」


「奴らのせいで北部の街が一つ焼き払われた。」


…え?


「あいつらのせいで泣いた奴がこの国にたくさんいるんだ。家族…親友…恋人を失った奴らがな。」


「どうしても…どうしても許せねえんだ。」


いつも勝気な赤い目はなんだか寂しそうだった。


「あいつらには大事な物を失ったときの悲しみが分かんねぇんだよ。」


「大切な物を失くした奴らが人を殺して手を汚す必要はねぇ。」


「手を汚すのは…俺達だけで十分だ。」


カノンが言う『俺達』というのは国の人間の事かな。


「お前に手を汚せとは言わない。頼む。力を貸してくれ。」


赤い目が私を捕らえる。


…カノンは純粋にこの国を救いたいんだ。


なんでだろう。


力を貸してあげたい。


私が小さく頷くとカノンとジルクがほっとした顔になる。


「俺は…俺はデルトの国王を殺す。」


カノンの意志がこもった低い声。


けどその声を遮ったのは…


「お言葉ですが…」


意外にもジルクだった。


「なんだジルク。」


カノンがジルクに問う。


「よろしいのですか?デルトの国王はあなた様の…」


「ジルク!!!」


ジルクが言葉を最後まで言う事は無かった。


カノンが怒鳴り声をあげる。


「その話は…しなくて良い…っ!!」


感情を押し殺したようなカノンの声。


「…失礼しました。」


「いや…悪い…。」


カタンという音と共にカノンが椅子から立ち上がる。


そしてそのまま部屋を出て行ってしまった。


「申し訳ありませんヒナタ様。」


「大丈夫。だけど…どうしたんだろう?」


長い間私はカノンが消えていったドアを眺めていた。



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