第二十六話◇
「…話が逸れました。」
コホンと咳払いをしてジルクが私に向き直る。
「まああんな風に魔法を使える者と使えないもので別れる様です。ヒナタ様は残念ながらまだ使えませんが…。」
やっぱり使えないかぁ…。
「練習すれば使える様になりますよ。」
ニッコリ笑うジルク。
今度頑張ってみよ。
「じゃあカノンの炎も…?」
「魔法ですね。」
本人はまた落ち込んでるけど。
「それでヒナタ様の魔力は別世界でも特別不思議な物なのです。」
「んでもってヒナタが放ってる魔力の傍にいると俺の呪いもとけるんだよ。」
あ、カノン復活した。
「ふ~ん…。」
自分ではそんな自覚ないんだけどなぁ…。
「で。当然デルトの奴らはお前が邪魔になる訳だ。」
確かに。私がいなかったらカノンは龍になれないもんね。
「それでお前を殺しに来たって訳だよ。」
なるほど…。すごい事に巻き込まれたな…私。
あれ?でもちょっと待って。
「なんでカノンは私の世界にいたの?」
「あ~…あれはジルクが…」
へ?ジルク?
「他の世界の事も学んで頂こうと思いまして。それに別世界でも不思議な魔力を持った方と交流して頂こうかと。」
ジルク恐るべき。
「じゃあおじさんとおばさんとか家は?」
カノンのお父さんとお母さん。私がカノンの家に行くとよくお菓子くれたっけな。
「あいつらはただの侍女と執事。家は俺の魔法で作った幻影。」
…マジですか。
「ああ。後カノン。」
「んあ?」
「こっちにはちょくちょく来てたの?なんか国民のみんなと妙に仲良いし。」
「ああ。土日とかお前に会ってない時は大概こっちに居た。」
なるほど…。