第十九話◇
「~♪」
今私と手をつないで歩いているのはさっきまで泣いていた女の子。
名前はアスカというらしい。
さっきから泣いてばかりであまりにもかわいそうだったので制服のポケットに入っていた飴玉をあげたらとたんにご機嫌になった。
……可愛い!
こんな妹が欲しかった…!!
一人っ子は寂しいんだよ…。
まあそんな事はどうでも良いんだけど…。
今適当に歩いてるんだけどお城には全然着かないし…
どうしよう…ホント。
困り果てていると…
「ヒナタ!」
……………。
「捜したぞ…。ってかなんだよその顔。」
「うわああああああ!カノ~ン!!死ぬかと思った~!!」
「はぁ!?」
私の目の前にはカノン。捜して来てくれたらしい。
「カノン様だぁ~!」
「お! アスカじゃねぇか。久しぶりだな。」
タタタ…とカノンに駆け寄るアスカ。
そんなアスカを抱っこするカノン。
見ていると兄妹みたい。
ていうか…
「ねえねえ。」
「あ?」
「カノンってなんで『カノン様』って呼ばれてんの?」
ずっと聞きたかったんだけど迷子になったりで聞けなかった事。
「…あ~。」
なんだか言いたくなさそうなカノン。
「カノン様はね王様なんだよ!!」
大きな声でそう言ったアスカ。
「あ…!コラ!」
なんか焦ったぽいカノン。
…王様?
王様ってあの~…
『我に跪け!!』
↑どや顔のカノン
「変な想像してんじゃねぇよ。」
バッコンという音と共に後頭部に衝撃。
「ぐべっ!」
「ちょ…今のマジで痛かった…。」
「しらんわ。」
「イラツク!!半笑いで言われた!!」
「うん。自分でもちょっとやり過ぎたと思った。」
「アンタぶっ殺ね。絶対ぶっ殺すかんね!!」
叫ぶ私。笑うカノン。きょとんとするアスカ。
「殺すのはちょっと…一応国王ですから」
ジルクが現れて少し控えめに言った。
「ジルク!」
「……。」
嫌そうなカノンと嬉しい私。
「バレちゃいましたか。では改めまして…」
「ドラグレイド第七代国王カノン様とその側近ジルクでございます。」
「…転職しようかな。」
にっこり笑ったジルクの声と嫌そうなカノンの声が重なった。