第十七話◇
ーカノンsideー
「相変わらず人多いよなここ。」
「まあ商店街ですしね。」
俺の呟きにジルクが答える。
人がわいわいしてんのは嫌いじゃねぇけど多すぎんだろ…。
いつも迷いそうになんだよな…。
「なぁ…ジルク。」
「なんでしょう?」
「さっき会った時からずって思ってたんだけどよ…」
「?」
首を傾げるジルク。
聞くべきか聞かないべきかすげぇ迷うなこれ。
でも聞かねぇと後が物凄く怖ぇ。
「仕事…どんくらいたまってる?」
「たっぷりです★」
「…やっぱりか。」
「やっぱりです★」
★うぜぇよ。
しゃーねぇ。今日も逃げるか…。
「今日は逃げられませんよ。」
「人の心を読むな!!」
「失礼。いつも貴方様が仕事から逃げ出すので城の中にトラップを作らせて頂きました。まあこの国の資産で…ですがね。」
はぁっ!?
「そんな下らねぇ事に国の金使ってんじゃねぇよ!!」
「致し方ありませんよ。どこかの誰かさんが仕事をやらずに逃げ出さなければ良い話でしたのに。」
「ねぇヒナタさ…」
ヒナタに同意を求めようとしたジルクの表情が固まる。
「どうした?」
俺も後ろを振り返る。
「ヒナタ様が…いません」
ジルクの声が小さく響いた。